「どんなに困難でも、俺たちは見捨てない。」スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
どんなに困難でも、俺たちは見捨てない。
『最強のふたり』のオリビエ・ナカシュ監督が、ケア施設で働くふたりの男たちの
実話をヴァンサン・カッセル主演で映画化。
自然体で、美談にしてない所が一番良かったと思います。
自閉症児や統合失調症児を、社会が受け入れにくい現実を
キチンと描写しています。
《電車の緊急停止ボタンを何度も押す少年》
………やはりどう考えても迷惑だし危険です……
《歩道を人やモノにぶつかりながら、孟スピードで走る少女》
………こどもやお年寄りと衝突したら、怪我させてしまう…………
自閉症児をケアする無認可の施設〔正義の声]を経営するブリュノ
(ヴァンサン・カッセル)は今日も大忙し!!
受け入れを断られる問題を抱えたケースも受け入れるので、
定員オーバーに、資格のない職員もいる・・・加えて赤字経営なのだ。
受けいれる青少年は、皆、病気が重い。
(皆一様に自分を語る言葉を持たない・・・)
世話するブリュノは、怒った顔を一度も見せない。
「何とかする!」が口癖。
ブリュノが落ち込んでいたら、[正義の声]は正義を失なう。
ブリュノ(ヴァンサン・カッセル)の忙しさは半端ない。
携帯が鳴りっぱなし。
そして問題は次から次へと、持ち上がる。
ユダヤ式のお見合いをするブリュノに、家庭を持つ時間は、
とてもなさそう!!
ある日、厚生省の査察官が入って、その結果次第では〔正義の声]の運営が
危ぶまれることに・・・
・・・・《閉鎖の危機》・・・が目前に迫ります。
正直言って、整理整頓されて観やすい・・・
そんな種類の映画ではありません。話があちこちに飛びます。
しかも訴えるテーマは限りなく重たい。
ブリュノは社会から見放された子供たちに、極限まで優しい・・・
なぜ、そんなに優しくなれるの?
ブリュノと働くみんな。
なぜ、そんなに献身的なの?
そしてブリュノの友人・マリクも・・・。
マリクは、彼らが自立するための社会復帰の仕事を紹介する[寄港]の経営者。
ラストで見せるブリュノの涙。
こんなささやかなご褒美・・・で、いいの?
このご褒美がブリュノの生き甲斐・・原動力なの?
《誰かが担わなければならないこと》
『母さんを叩いたら、ブリュノに会えない』
ディランも、みんなもブリュノが大好き!!