「正常と異常はグラデーション」スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話 公美子さんの映画レビュー(感想・評価)
正常と異常はグラデーション
みんな変だった。愛すべき「変」も含めて。まずは自閉症の子どもが一筋縄ではいかないことは頭でわかっているつもりだったけど、繰り返し映像と音響で見せられ出口のなさに思い至る。子どものうちはまだいい。思春期を迎えその先の人生こそ・・・ということだ。「ああ、やっぱり閉鎖空間のパラレルワールドを知らぬがホトケで生きてきた自分。」と再認識。そんな我が子に振り回されてエキセントリックな言動になりがちな親、公私の区別なく天職に人生を捧げる経営者、支援スタッフなのか自閉症者なのかパッと見ではわからないような若者たち、エリートだけど心の渇ききった監督官庁公務員、誰一人正常な人なんていないわけね、と大づかみしてみることもできた。
中心人物の二人は片やユダヤ教、片やイスラム教信者というのはフランス映画ならではのウィットの一つかな。何れにしてもなぜこの二人、特にブリュノは結婚もせずに一人ブラック施設運営に身を粉にして捧げているのか(彼のスーパー包容力は本当に素敵です。第1号顧客・ジョセフの気持ち痛いほどわかる)、過去の背景なども描いてくれるとなお良かった。
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