「邦題は、ちょっとおかしいかな。」ブルータル・ジャスティス 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
邦題は、ちょっとおかしいかな。
邦題、と言っても、カナダのフランス語圏のタイトルが「ジュスティス・ブルタル」なので、日本独自というわけでもなさそうだが、決して「野蛮な正義」の物語ではない。むしろ野蛮な刑事たちが私利のために「正義」から逸脱する姿を描いており、その一方で、彼らは正義をすべて捨てらることはできないと、どこかで線を引こうとする。その試みは決して「野蛮」ではない。やはり「コンクリの上を引きずられて」とでも訳すべきか、原題のイメージの方が作品の印象に近い。
と重箱の隅のような話をしてしまったが、S・クレイグ・ザラー監督だから「野蛮」な残虐描写は本当にどうかしているし、同じくらい日常のなにげない描写に力を注いでいるのも相変わらずだ。そこに優劣を付けたりせず、映画の常道に頼って過剰に面白く見せようとしていないのもいい。「よくできた映画」はそれはそれで魅力があるし楽しいのだが、ザラーの「よくできた」なんてウソっぽくね?とでも言いたげな無骨なリアルへのアプローチは、映画を新しく捉え直す時代の流れの最先端だと感じている。
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