劇場公開日 2020年10月16日

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「今年度最も危険な映画」スパイの妻 劇場版 TOKIESさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0今年度最も危険な映画

2020年10月19日
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表向きは貿易会社を営む福原勇作と、それを支える妻駒子の話。勇作が満洲での旅先で、731部隊が生物兵器を使い、大量の中国人をペストに罹らせて殺戮した場面を目撃する。その文書とフィルムを持ち帰ったことがきっかけで、軍隊を巻き込んだ騒動へと発展。スパイ容疑をかけられた勇作と、妻駒子がとった行動とは。

大きな話だが、ロケセットで行える範囲で上手に撮っており、美術、衣装、キャスト、照明、音楽等、粗のないつくりでストーリー展開も明確である。また国会に帰属意識を持たない「コスモポリタン」という主人公の生き方が、ヴェネチアの心を捉えたのだとも感じた。

しかし、これは日本にとってまずい映画である。仮に731部隊の残虐な行為が本当だとしたら、今頃中国は日本に莫大な賠償金を請求するはずである。がしかし、1999年のクリントン政権下では、ナチスと日本の戦争犯罪を再検証するためIWG(記録作業部会)を組織し731部隊による人体実験、従軍慰安婦問題などの戦争犯罪の証拠資料を探させたが、戦争犯罪につながる資料は、何も見つからなかった。そしてさらに2007年米国立公文書館は情報機関の対日機密文書10万ページ(731部隊に関するものなど)を公開したが、人体実験や細菌戦を行った証拠は何も見つからなかったと言われる。

このような歴史改ざんを見逃すわけにはいかない。これでは日本の愛国心を損ねるだけであり、中国に揚げ足を取られる要因になりかねない。
エンタメとして美しい色彩に彩られているとしても、共産主義的な影を見逃すことなかれ。

TOKIES