フォートレス・ダウン 要塞都市攻防戦のレビュー・感想・評価
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ゲリラ戦
内戦で混迷中のシリアに住む、クルド人有志が製作した、戦争映画。
トルコから逃げてきたクルド人の証言から、トルコによるクルド人弾圧を告発する内容。
ぶっちゃけ、クルド人視点で一方的に語っているため、事の正誤も、正義がどちらにあるかもわかりません(戦争はお互い正義だと主張するものですし)。
調べてみれば、バリバリ戦闘主義のPKKのいた街で、この戦いもクルド人が警察官を殺したのが事の起こりという説もある。
仮にこれが「PKKの政治戦略広報映画」と言われても、肯定も否定も出来ない。
戦争映画が好物な私は、
「散発的に戦闘が起こる地域で、元ゲリラもキャストとして起用、大量の武器や本物の戦車を投入して戦闘シーンを撮影した」
という売り文句から観に行ったんですが、その言葉に偽りなし。
ミリタリー的な迫力は凄かったんで、これだけで十分満足!
ただし、ゲリラ戦って、地味なのよね。
撃っては逃げて、爆薬仕掛けては逃げて、遠くから狙撃しては逃げて、塹壕作って隠れて。
単調なので、後半の戦闘で、時々眠くなりました。
クルド人の闘い
クルド人の住む町、ディヤルバクルがトルコに包囲され、警察や軍とゲリラ戦を行いながら、自身らの独立と自由を求める物語。
話の構成としては、迫害や戦闘準備の同じようなシーンが繰り返し。間に戦闘シーンがこちらもまた何度も挟まれる。
戦闘シーンはかなりリアル。地味に且つ唐突に始まり、いつの間にか終わる。
映画としてのエンタメ性は最小限に、BGMも殆どない交戦が続いていく。
映画を楽しむ為の作品と言うよりは、実際に経験した人による、実態を伝える為の作品と言ったところか。
ただ、トルコ人はホントにあんなに残虐なことをしているのだろうか。
クルド人という名前は聞いたことあったけど、それ以上のことはよくわからないし、中東をテーマにした作品は多いけど、何となく観ていた自分もいよいよ勉強したいと思えた作品だった。
面白さと言うよりは、そういう気にさせてくれたという意味で良作だった。
泥棒じゃない?強盗です。
2015年から2016年に掛けてトルコのディヤルバクルのスール地区で発生したクルド労働者党(PKK)とトルコ軍の衝突の話。
文化遺跡の城壁に囲まれた町で起きたクルド人の迫害に対し結集して反政府活動をってなっているけれど、PKKってそもそも極左のテロ組織だしね。
その年の現金輸送車襲撃とか、この話の取っかかりの警察官殺害とかはどこにいったんでしょう。
完全にPKK視点で描かれていて、メンバーの死ぬシーンは思い入れタップリに見せるけれど、特に感情移入させるほどの描写はないから響かずダルいだけだし、作戦失敗からのおかわり含め、同じ様なシーンが長々と続くから飽きてくる。
あらすじに「ディヤルバクルの蜂起戦」とあったり、「ゲリラ戦を仕掛けて行く」とあったので予想はついたけど、これはPKKのプロパガンダ映画ですね。
迫力だけは良かったかな。
市街戦のリアリティ
映像ジャーナリストが、従軍しながら撮影した記録映画と言ってもいいくらい、リアリティがある。一般的なアクション映画みたいに雨あられと銃をぶっ放したりしない。打ち続けていると相手の的になってしまう。
銃弾が当たれば、死んでしまう。そんな戦場の非情な事実を再認識させられる。
トルコ政府も世界世論を気にしてか、空爆やミサイル攻撃はせず、あくまでもテロ組織として制圧したいようだ。
昔、サダムフセインが毒ガスでクルド人を虐殺したニュースを聞いた時は、クルド人はイラク国内の少数民族だと思っていた。その後、人口4千万人ともいわれる大きな民族であることを知り、正直驚いた。
クルド人の民族としての誇りを世界に発信するためにこの映画を制作したと思うが、少なくとも僕の心には響いた。独立国家を樹立するのは無理としてもバスク自治州のような独立性の高い自治政府を勝ちとって欲しい。
それはそうと、「同志」って訳はどうなの?自分の耳では名前にそんな敬称付けてなかったと思うけど。
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