劇場公開日 2021年8月27日

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「子供の本質をかなり正確に描写している」劇場版 アーヤと魔女 ikechan2000さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0子供の本質をかなり正確に描写している

2021年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

これジブリ映画なのですが、ド派手なアクションやドラマティックな展開を期待すると肩透かしを食らいます。
一回目にNHKで見たときは僕も「なにこれ?何が言いたいの?」ってなったんですが、
宮崎駿のロングインタビューを見て、この映画が本当に伝えたいことが分かってから見ると、
とても深い感動を覚えました。

要するに、これからの未来の子供たちは、徹底的にズルくて良い。ズルくないと生きていけないという事なんです。

一見するとアーヤが魔女に貰われてからの生活は、理不尽そのもので、誰か王子様が助けに来ない限りは映画として成立しないんじゃないか?という不安が序盤には感じられます。

でも、アーヤからは全く悲壮感は伝わって来なくて、むしろ小賢しすぎて、「こいつマジか!」って思うようになります。
そしてこれは現代の子供たちに必要な力であることは間違いありません。
少子化で子供の数が減っていく中で、子供たちは大勢の大人を相手に、生きていかなくてはなりません。
アーヤは周りの大人の心を正確に読み取り、「この人はどうすれば私の思い通りになるか?」という行動原理で動いています。それは決して悪いことではなく、持ちつ持たれつの存在である私たち人間の、本質を的確に突いています。

CGのクオリティ等の話は、別にどうでもいいと思っています。手描きだろうがCGだろうが人形劇だろうが、映画は成立するものです。この作品も、普通に見ていて綺麗な映像だなと思いました。

どうか小さな子供、いろいろ一人でできるようになってきた子供がいる親の方、
お子さんと一緒に劇場に足を運んでみてください。

ikechan2000