「戦闘シーンのスケールアップと存在感ある配役」キングダム2 遥かなる大地へ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
戦闘シーンのスケールアップと存在感ある配役
1作目『キングダム』から3年の時を経ての第2弾。コロナ禍で撮影も難しかったと思うが、その中で中国ロケも敢行し、蛇甘平原における秦と魏との壮絶な戦闘シーンを中心に描いたアクションス大作に仕上がっている。
物語は、前作から半年後。えい政が王座を奪回した秦の国に、隣国・魏が侵攻を始める所から始まる。えい政は、魏の討伐に向けて兵を起こし、信もまた「天下の大将軍になる」という、漂との誓い胸に歩兵として戦場に赴く。そこで、郷土の仲間や謎の剣士・羌かいと共に、大軍勢の魏に立ち向かうが、戦況有利となる丘を奪い取られ、窮地に陥っていく…。
戦闘シーンの迫力は、エキストラの数もかなり多いと思われ、CGと合成することで、より迫力ある大軍勢同士のぶつかり合いに仕上がっている。邦画としては、よく頑張っていたと思う。ただ、あれだけの人が殺し合うシーンだからこそ、もう少し血生臭いシーンを盛り込んだ方が、臨場感が伝わったように思う。また、信の戦闘シーンでは、ワイヤーアクションも見どころになっているが、やや違和感を感じ、『るろうに剣心』で佐藤健が魅せたような、動きの滑らかさには適わないと感じた。
その分、今回、新たに女戦士・羌かいを演じた清野菜名の演技とアクションは光るものがあった。元々アクション俳優を目指してきただけあり、殺陣の切れは、他の女優には真似できない素晴らしいものがある。また、本作の命台詞「お前は、まだ生きているじゃないか!」は、グッと胸に突き刺さった。
また本作は、ひょう公を演じた、豊川悦治、呉慶を演じた小澤征悦、そして天下の大将軍・王騎を演じた大沢たかおのオーラというか、存在感は半端なかった。相手に向ける目線やたった一言の台詞で相手を威圧するような振舞は、ベテランならではの重厚感ある演技と言える。そして、その中で奇才を放ったのが、日曜ドラマの『殺人フラグ』で刑事役を務めた渋川清彦。物語の重要な役を担っていた。
勿論、高い志を持ちながらも、まだまだ若気の至りで、無茶な戦いぶりで突き進んでいく、信を演じた山崎賢人は、本シリーズが役者人生の代表作となっていくことは間違いないだろう。しかし、W主演のはずの吉沢亮の出番が、渋沢栄一の大河ドラマのロケと重なった為か、少なかったのは否めない。
そして、ラストシーン。魏との戦で物語は終わりかと思いきや…、何と何と、そこに現れたのが、またまた大御所の2人。そこに、新たな強敵を匂わせる青い着物の人物。エンドロール後に、『キングダム3』に続く宣伝シーンもあるので、お見逃し無いように。