劇場公開日 2022年7月15日

「前作を凌ぐ壮大なスケール!」キングダム2 遥かなる大地へ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0前作を凌ぐ壮大なスケール!

2022年7月17日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

興奮

原作未読ですが、テレビアニメでファンになり、実写劇場版の前作はもちろん鑑賞済みです。その前作から3年、待望の続編がついに公開されました。前作もよかったのですが、本作はそれをさらに上回る会心の出来と言っていいです。とにかくスケールの大きさが目をひきます。

前作で描いていたのは、天下の大将軍を目指す信が秦王・嬴政と出会い、王弟・成きょうに奪われた玉座の奪還を目指すという、いわばクーデターによる内戦。それに対して、本作が描くのは、侵攻を進める隣国・魏とそれを迎え撃つ秦が激突する蛇甘平原の戦いという、国家間の戦争。軍の規模も、戦場も自ずとスケールアップするのですが、それを見事な映像表現でやってのけたのがすばらしいです。もちろん VFX全開で、相当の数のエキストラを動員したのでしょうが、その成果はスクリーンにしっかりと表れていると思います。おびただしい数の兵士、整然とまとめられた陣形、果ての見えない戦場が、舞台である中国の雄大さとともに、この物語の壮大さも感じさせます。

ストーリーそのものは、蛇甘平原の攻防を描くだけという、極めてシンプルなものですが、そこにさまざまな登場人物の生き様がしっかりと描かれ、観る者の心を揺さぶります。中でも、ただがむしゃらに突き進むしかなかった信が、大将軍たるには相応の資質や能力が必要なことに気づいたこと、姉と慕う羌象の復讐のためだけに命を燃やす羌かいが、仲間との絆や生きる意味を見出したことなど、二人の変容はしっかりと描かれています。脇にありながら、縛虎申、尾兄弟、羌象などからも、一人一人が時代の中で懸命に生きていたことが伝わってきて、歴史群像劇としてもおもしろかったです。

主演は山崎賢人くんで、血気盛んな信を熱演しています。全編にわたる躍動感あふれるアクションシーンは圧巻です。共演の清野菜名さんは、期待どおりのアクションで魅せ、みごとに羌かいを具現化していました。あまりのかっこよさに最初のアクションシーンは涙してしまいました。尾平に必死で訴えるシーンも沁みました。脇を固める、大沢たかおさん、豊川悦司さん、小澤征悦さんらは、貫禄の演技が光ります。岡山天音くん、真壁刀義さん、渋川清彦さんらは、適材適所のキャスティングがハマってました。一方で、本作ではあまり出番のなかった吉沢亮くん、橋本環奈さんらの活躍は、次作に期待といったところでしょうか。早くも続きが気になります。

今回は上映前に舞台挨拶ライブヴューイングがあり、キャスト陣の話が聞けたのですが、口をそろえて言っていたのは、公開の喜びです。コロナ感染真っ只中での続編制作だったため、多くの不安や苦労があったのでしょう。それを乗り越えての公開に、観客の一人として心から感謝です。感染拡大は予断を許しませんが、これからもよい作品を届けてほしいです。

おじゃる