「答えのない問い。答えは人それぞれ」いのちの停車場 まつさんの映画レビュー(感想・評価)
答えのない問い。答えは人それぞれ
すごく良かった。ただ観て良かったというだけじゃなく、考えさせられるし、おすすめしたい映画です。
泣くつもりはなかったけれど、ポロポロと涙が抑えられなかった。
ティッシュかハンカチは持っていった方が良いと思います。
役者の方の演技が良かった。演技が良いというより、生きていた。それぞれが魅力的だった。
時折、芸術的なカットがいれてあり、ジーンと染み渡る感覚があった。
※ここからネタバレあります。
色んな人の生と死を見ることになるけど、一番印象に残っているのは主人公の父親の話です。
延命治療をしないでほしい。苦しみや痛みから永遠に解放されたい。
そんな本人の願いを聞いても、父親を安楽死させることは計り知れない辛さがあるだろう。人を救いたいと思っている医師だからこそ余計つらい。
安楽死をしたら父親を殺したという罪の意識が残る。かといって延命治療をすると父親を苦しめることになり、罪悪感が残る。
自分も苦しみや痛みもなく、眠るように死ぬのが一番理想だし、自分の事だけ考えると安楽死は良いと思うが、残される側は悲しみと罪の意識が消えることはないんじゃないかと思う。
父親役(田中泯さん)の演技がリアルすぎて、祖父を思い出してしまった。
少し思い出話です。
祖母も祖父も、寝たきりの期間が長く在宅介護でヘルパーさんを雇ったりしていたが、主に母が看病していた。祖母はほぼ植物状態で先に亡くなったが、祖父の意識はしっかりしていた。
寝たきりになる前は、体は丈夫なほうで毎日欠かさず運動しているような人だった。だからこそ思うように動けず辛かったんだと思う。何度もブザーを鳴らし、「あ〜!あ〜!しにたい!ころしてくれ〜!」と毎日の様に叫んでいた。高校生だった自分はそれが嫌で「じゃあ、しねよ。」なんて心の中で思っていた。すごく邪悪でいやな奴だと思う。
そんな祖父が亡くなってから、なぜか母は鬱になってしまった。私が苦しめてしまった。と自分を責めていた。
今は母は元気になってくれたが、母ひとりに負担をかけていた事を反省する。
涙がこぼれたのは、そんな経験があったからかもしれないが、それぞれ何かしら思うところがあると思う。
そんなことがあり介護をしている方や、高齢者に優しい方、介護職に就く方は本当に尊敬する。
医療のことは詳しくないので、違和感なく見れたのですが、最初だけ違和感がありました。
最初の車のシーンを見た時は、んっ?これは孤狼の血なのか?と思った。
なぜ煽っていた後続車が渋滞に自ら突っ込んだのか。推測だけど、追い抜きざまに「なにちんたら走っとんじゃワレ〜!」などと横を向いて怒鳴っていたのか、
で前向いて「あっ!やっべ!もうムリ〜」ギュ〜ン、ドン!となったのか。マヌケすぎてそこだけ違和感があった。
交通事故で看護師の姉が亡くなったこととかけてあるのか、どうなんだろ?
長々と書いてしまって、見にくい文章になっちゃったけど、この映画を観れてよかった。改めて、親を大事にしようと思った。
映画観たあとに確認したけど、平均レビューが低かったのが意外だった。百聞は一見にしかず。個人的には観て良かったと思える映画。