「深く考えず、気楽に楽しめる!」ヒットマン エージェント:ジュン おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
深く考えず、気楽に楽しめる!
今週末公開の「ヒットマン リサージェンス」を鑑賞予定でいたので、ちらっとあらすじを読んだら、前作があることが発覚!これは先に予習しておかねばと、急遽本作を鑑賞しました。
ストーリーは、両親を事故で亡くし孤児となり、国家情報院に引き取られ、対テロ保安局のエースへと成長したエージェント・ジュンが、漫画家になるという夢を捨てきれず、任務中に自身の死を偽装して行方をくらまし、別人に成りすまして家庭をもち、あこがれの漫画家として生活していたが、まったく売れずにくすぶり続け、酔った勢いでエージェント時代の経験をネタにした漫画を配信してしまったことから起こる騒動を描くというもの。
タイトルとキービジュアルからガチガチのクライムアクションを予想していたのですが、まったく違いました。全編にわたってコメディ要素満載で、その一方で締めるところはきっちり締め、最後まで楽しく展開していきます。
序盤は、生い立ちから話を起こし、エージェントとなる経緯、以降の行動の裏付けとなる漫画家への夢、エースとしての活躍、計画的な失踪と、実にテンポよく端的に描き、あっというまに舞台をお膳立てしていきます。その中で、ジュンの有能ぶりがうかがえるアクションシーンを描いて観客の心をつかみ、さらにこれが後半への伏線にもなっているという見事な立ち上がりです。
そして、物語の現在地となる15年後、ついに漫画家となるも鳴かず飛ばずで、妻には頼りきり、編集者には頭の上がらないジュンの姿が、実にコミカルがGood! 冒頭でキレのいいアクションを魅せているだけに、この振り幅がいい感じです。
そんな平穏な生活が、エージェント時代をネタにした漫画の配信で一変します。元エースのわりにはあまりにも脇が甘く、対応も後手に回った感はありますが、素性がバレたとたんに顔つきが変わり、国家情報院の追っ手を振り払う姿がかっこいいです。
ここにジュンの命を狙う悪党が加わり、物語はシリアス度を高めていきます。そんな中においてもコメディ要素を忘れず、きっちり楽しませてくれるのが、本作のおもしろさでもあります。救出に向かったはずの妻の目の前でUターンするシーンは爆笑ものですし、なにげに妻も娘もコミカルな立ち回りで、いい味を出しています。
国家情報院は無能だし、悪党組織にも残忍な恐怖を感じないし、全体的に緩さが目立ちますが、アクションコメディだと思えば気になりません。深く考えず、気楽に楽しめる作品だと思います。おかげで続編も楽しみになりました。
主演はクォ・サンウで、シリアスとコミカルの振り幅の大きいジュンを好演しています。脇を高めるのは、チョン・ジュノ、ファンウ・スルヘ、イ・イギョン、イ・ジウォン、ホ・ソンテら。