フライング・ジャット
2016年製作/151分/インド
原題または英題:A Flying Jatt
スタッフ・キャスト
- 監督
- レモ・デソウザ
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タイガー・シュロフ
-

ジャクリーン・フェルナンデス
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アムリター・シン
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カイ・カイ・メノン
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ネイサン・ジョーンズ
2016年製作/151分/インド
原題または英題:A Flying Jatt

タイガー・シュロフ

ジャクリーン・フェルナンデス

アムリター・シン

カイ・カイ・メノン

ネイサン・ジョーンズ
初めて観たインド映画はラジニー・カーント主演の「ロボット」だった。そのハチャメチャさが楽しくてインド映画をあさり始めた。
「きっと、うまくいく」でインド映画の幅広さを感じた。
「バーフバリ」で世界一の映画大国らしいスケールのデカさにおののいた。
今では観られるインド映画は全部観る気持ちでいる(もちろん全部は観られないが)
本作「フライングジャット」を観ているときに、不思議な懐かしさのようなものを感じた。
アメコミの模倣シーン(ちゃんと作中で理由があり模倣している)の多さもあるだろうが、初めてインド映画に触れた時の衝撃、つまり「ロボット」と同じものを感じ取った。
そして、今ではあらゆるインド映画が好きだが、自分の中で本当に求め続けていたものはコレでは?と気付いた。
これはもう星5にするしかない。
インド映画の魅力といえば、まずは歌とダンスだろう(歌もダンスもない作品もあるが)
そして、次に思うのは、ハチャメチャさと、ツッコむ隙があることだ。
もちろん文句のつけようがない完璧な作品というのは良いものだが、失敗したわけではない隙というのは、不完全なものに美を見いだすわびさびの如く魅力的に写る。
今回は、環境汚染VSシク教徒のヒーローものだったが、ストーリーはユルいし、キャラクターは軽いし、無駄に歌うし無駄に踊るし、時間も長い。
しかしこれら全てが自分には魅力的なのだ。
愛すべきインド映画、愛すべきシク教徒、愛すべきフライングジャットなのだ。
何だか褒めてんだか貶してんだか分からなくなってきたが、マーベルシネマティックユニバースに連なるアメコミ作品と比較しても真ん中以上の面白さだと思うね。
あちらさんは続編とか前後関係があるから、単純な1作目基準でいったら「フライングジャット」は普通に1、2を争うと思う。
ヘンテコなヒーローコスチュームだと思っていたのが最後はカッコよく見えるのだからヒーローものとしては成功だろ?
ありがちな勧善懲悪ヒーロー物なんだけど「環境汚染をやめろ」っていう強い社会的テーマも持ってるね。
勧善懲悪のところは、そこに家族の問題と愛情を絡めて、ベタだけど良い展開になってるの。「信念を持って戦うのが本当のヒーロー」の使い方とか、お父さんのターバンの使い方とか細かなところもうまい。
特徴的なのが、悪役の悪っぷりが弱いのね。大企業の社長は最後は自分も困ってヒーロー応援しちゃうし、敵役も望んでそうなったというより「環境汚染をやってるお前らが俺を生み出したんじゃないか」って感じで。
ストーリーで特徴的なのは「そこまでやるか」って感じで主人公を追い込むんだよね。お兄さん亡くなるところがまさにそう。「ここでヒーロー登場して逆転だな」ってところで逆転しないで、そのまま負けちゃう。
その分、そこからの展開は盛り上がるね。
韓国映画もかなり追い込むけど、インド映画の追い込みっぷりの方がすごい。これくらい振って追い込んでくれるといいね。
意味ない踊りも入ってきて良かった。この頃のインド映画は意味なく踊らないんだけど、これは2016年制作らしいから、まだ踊ってたのかな。これは様式美として、復活して欲しいな。