ザ・ブック・オブ・ヘンリーのレビュー・感想・評価
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ヘンリーは、母親に。。
犯罪者になることを優先したのか。頭のいい少年であれば、病院の先生などの力を頼ることも出来たはず。もし、残されたテープに「ママ、ここまで一人で行動できたね、偉いよ!でも、やっぱり撃つことできなかったね」とかさ、次へのステップに繋げるには最高の演出にも出来たのに。あそこで、撃たない、そして、撃たれるところまでヘンリーなら予想できたはず。あくまでも、運が良かっただけだ。そして、入院していたはずなのに、あそこまで準備ができたのだろうか。
個人的解釈がかなり入るがとても良い作品
かなりネタバレなので注意。
他の人がどう解釈したか気になるので色んな解釈のコメントも頂けると嬉しい。
まずはこの映画が割と酷評されていることに驚いた。
確かに説明が足りていない部分はあったが、短い時間でこの話を描くならこれで良かったと思っているし、個人的には十分伝わったと思う。
まずは大前提として虐待は性的虐待だったと解釈した。
最初の方からそうなのかもと思っていたが、弟ピーターが赤いノートを見て一部わからないような反応をしていたことや、母親がその場面を窓越しに見た時の反応からもそう汲み取れる。
また、暴力であれば写真などに収めたと思われることからもそう取れる。
ヘンリーは天才だけど子供で経験がないことから、暴力よりもきっとショッキングなものだったと思う。
その上好きな子だったから尚更ショックなはずで、一刻も早くとめたいのにプライバシーを守って保護してくれるであろう大人が全て力になってくれない。
もう殺すしかない。そう考えても不思議じゃないと思った。
というのも、私自身ストーカー被害に遭って友人や職場関係を壊され殺害予告された時「殺すしかない。殺さない限り終わらない。」と思ってしまっていたことがあった。継続して悪化する絶望の中にいると人間はそう思うようになっていると思う。
だから他の酷評で「リアルじゃない。殺害に直結するのは短絡的。」という言葉に私は「いや、これはリアルだ。」と答える。
話が逸れたが、ヘンリーは天才だけど "思ったことに真っ直ぐ進むところ" に唯一子供らしさがみえて良かった。
きっと5年後のヘンリーなら「殺そう」「自分に出来なそうだから母親にやってもらおう」とならなかっただろう。
その未成熟な部分がたまらなく愛おしい。
そして、古屋の中の写真。
あれはヘンリーの"迷い"と"賭け"だったのではないだろうか。
頭のいいヘンリーが、銃で覗く窓のあんな近くにあの仕掛けのスタートを置くだろうか。しかも、息を潜めなければならないことをする場所で、弟に見せた時よりも大きい音が鳴る仕掛けを。
もしも母親が震え、ぶつかってその仕掛けが作動したなら、やめてもいい。選択していい。きっとこの写真を見たら踏みとどまるだろう。
そういった意図があったのではないだろうか。
イヤホン越しに聞こえる声では二度打つことを催促している。
ヘンリーには母親が打てないことがわかっていたのかもしれない。
赤い本に書かれていた格言のように、忙しく何かに夢中にさせて自分を亡くした悲しみから早く立ち直らせたかったのかもしれない。
クリスティーナを救うのは、殺すのでなくても母親ならどうにかしてくれると信じていたと思う。
シーラがヘンリーの名前を間違えるのは本当の母親?昔子供が死んで…とか?などと勘ぐっていたがキスのシーンがあったので病んで深酒するほど好きな元旦那にでも似ていた?のかな?
ヘンリーが入院してクラスのみんなが手紙を書くシーン。クリスティーナが
「みんな信じてる。」
と書いていたところ、クラスメイトが治るよね?と教師に質問し、教師がわからないと返答。それを見ていたクリスティーナは
「私は 信じてる。」
に変えていたシーンも良かった。そうだね。先生は信じていなかったものね。
真っ直ぐで繊細な子供らしさがよく描かれていた。
クリスティーナのバレエをみて校長が目に涙を溜め舞台袖からいなくなり警察に通報したであろう表現。あそこもとても良かった。
他はヘンリーや母親が動かしたが、ここだけは最終的にクリスティーナ自身の力で動かされたシーン。本人は無自覚だけど、校長側からは人に言われてやったのではなく最終的には助けたいという自分の心に従ったという事。
グレンが自殺したことによりクリスティーナが誰にも何もつらい経験を話さなくてよく済んで良かった。そこはリアルじゃないかもしれないし、リアルかもしれない。
警察の方が色々わかる分捕まるの怖いよね。警察の方が刑務所でも他の受刑者に虐められるし。
庭の見た目をとても気にする性格に描かれていたから、人の目を人一倍気にする人なのかもしれない。そう思うとリアルな気がする。
ヘンリーの残した株がきちんと整理され利益を出せるのかが気になるが、きっと医者といい感じになって医者がなんとかしてくれるだろう。
みんなお幸せに。
他にも書きたいことが沢山あるが、この辺で。
一人で観たことを後悔した。
私はとても好きな物語で、どう解釈したか話し合いたかった。
子どもは子ども、親は大人。
母親の成長、という点を1番に感じた。
いくら天才と周りから評価され、大人びていても、まだヘンリーは子どもなのだという気付き。
そして、自分はその母親であり、大人であり、意思を持った行動を示していくべき立場だという気付き。
ヘンリーの成長過程を写した写真を見ることで、それに気付かされる母親。
今まで子どもに意見されないと何も決められなかった母、その逆転していた親子関係が、小屋の中で反転する。
人間の道を踏み外さず、丸く収まるハッピーエンド。
虐待現場や少女が傷ついている様子が過度には演出されず薄いが、あくまでも隣の家から見える範囲で展開が進むのが逆にリアルでよかった。
私刑行為を正当化する実に短絡的で厚かましい映画
なんてチグハグな映画だろうか。前半はギフテッド・チャイルドの少年時代を描いた心なしかYA小説を思わせるカミング・オブ・エイジ物語のように見える。しかし後半で唐突に映画は急ハンドルを切り、そこからの展開をドラマティックと見るか荒唐無稽と見るかがこの作品を評価するうえでの大きな分かれ道になるのかもしれない。っていうかどう考えたって荒唐無稽だろうよ。捻りを効かせたつもりかもしれないが、いいやただただ唖然とさせられるだけだ。
この映画って全体的にすごく短絡的な思想で構成されているなと思う。天才少年の表現にしても、彼の唐突過ぎる死にしても非常に短絡的だと思うし、隣人の秘密や少女の抱える闇にしてもそう。そして少年の遺言によって起こす母親の行動もまったくもって短絡的(私刑を正当化するかのよう)だし、その後の隣人の末路も、少女を易々と引き取ればハッピーエンドだと言い張る結末も、何から何まで短絡的だと言わずにいられない。物事の表裏も多面性も多様性も一切考慮せず、「悪でないものは善であり、善でないならそれは悪だ」と言い切るような図々しさで溢れている。
特に後半の展開は虫唾が走るようだ。
自らの死後に実母と弟を利用して憎き隣人に私的制裁を加えようだなんて発想したのであれば、その少年はギフテッドでもなんでもない。ただのサイコパスだ。しかしナオミ・ワッツ演じる母親はそんな息子のために銃を握り復讐の鬼と化す(ワッツの激情型の熱演がこんなにも滑稽に映るなんて・・・)。そんなのは正義でもなければサスペンスでもない。それなのに映画はそんなことお構いなしで、それがドラマティックなサスペンスだと信じ込んでいる。良識の在る人間が考えるストーリーじゃない。
私にはこの映画は人の命を軽んじているようにしか思えなかった。最終的に母親は隣人への私刑行為を思い留まるとどまるものの、結果として映画は隣人を死なせることで結論づけている。でもそれって、脚本家がスクリプトに「自殺」と書き込むことで、隣人に対し私的制裁を加えたのと同じなのではないのか。
隣人は確かに悪い行いをした男だったが、彼は完全なる悪人だったのか?そして彼の命は死して然るべき命だったのか?でもそんなことをだれに決められるだろう?でも映画はそんなことには気にも留めない。悪い奴は死なせてしまえばハッピーエンドだという思想のもと、母親の銃弾の代わりに脚本家のペンによって彼に私的制裁を下し、またそれをハッピーエンドと呼ぶことで私刑行為を正当化してしまっているのだ。そんなものは勧善懲悪ですらない独善的な正義だ。人の命を何だと思っているのか。そもそも少年の死による感傷でその後の私刑行為を正当化させようという厚かましさも当然のように不愉快だった。この物語の中で失われた二人の命はただ物語のスパイスでしかないのか。腹立たしい。
あぁ久しぶりに気分が悪くなるような映画を観てしまった。
面白くないというより、有害だと思うほどだった。
【ギフテッド少年が、ママと弟と隣家の少女のために記した”紅い表紙のノート”】
ー主要登場人物ー
<カーペンター一家と隣家の人々>
・ヘンリー:小学校の先生から、”ギフテッド”と言われるほどの頭脳を持った少年。僅か、11歳ながら、株取引などで、一家を支えている。正義感が強い。(ジェイデン・マーテル:オオ、”IT"の君か!)
・ピーター:いじめられっ子の眼鏡君。(ジェイコブ・トレンブレイ:相変わらずの天才子役振りである・・)
・ママ(スーザン):可成り頼りないシングルマザー。パパは何故いない?同僚シーラとお酒を飲むと、ヘンリー君も心配。(ナオミ・ワッツ)
・クリスティーナ:隣家で継父と暮らす少女。表情が暗い・・。
・グレン・シックルマン:クリスティーナの継父。警察関係者。(ディーン・ノリス)
■ピーターは級友、先生も一目置くほどの秀才。尚且つ、株取引で家計も支えている。その彼が、頭痛を訴え、病院へ・・。
ー前半は、ほのぼのした聡明な少年を中心にした、少年少女の成長譚かなあ・・好みだなあ・・・と思いながら、鑑賞。
だが、ピーター君にある出来事が起こり、後半は一転、ミステリートーンに・・。-
”え、クリスティーナ、グレンから虐待されているの? ”はっきりとは描かれず・・。謎のライト点滅・・。”
”え、スーザン そんな過激な行動に・・。如何にピーターが聡明とは言え・・。もう少し、冷静に・・。”
”え、矢張りそうだったの・・”
など、細かい部分をもう少し丁寧に描いて欲しかった作品。
<目まぐるしく変化する映画のトーンに惑わされながら、そして色々と突っ込みながら鑑賞した作品。
脚本をしっかり構成してくれればもっとよかったのになあ、と思ったなあ。
ジェイデン・マーテル君と安定の可愛いジェイコブ・トレンブレイ君が魅力的である。>
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