「スマホ時代のユニークな三角関係」ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
スマホ時代のユニークな三角関係
三角関係の作り方が非常にユニーク。白人ばかりが住むアメリカの田舎に暮らす中国系アメリカ人の女子高生が、同級生の白人男子からラブレターの代筆を頼まれる。相手は主人公がいつも気にしていた白人の女の子で、いわゆる眉目秀麗、周囲に合わせているけど、本当は居心地がわるいと感じているような知的レベルの高い女の子だ。主人公は見事な知識と美文でその子のハートをつかむが、男子当人はまるで知識がない。彼女が惹かれたのは主人公の感性であり、主人公もまた同じ町で初めて話の通じる相手を見つけた喜びを感じる。
これが同性愛なのかどうか、本人も悩んでいる。同性に対するあこがれか、友情か、それとも愛なのか。性的志向はそもそも固定的なものではなく、流動して移ろうもの。そのうつろう気持ちのリアルが描かれていた。
男子と彼女が向かい合ってディナーしているときに、主人公がメッセージアプリで助け舟を出すシーンは、スマホ世代ならではの三角関係の演出としてすごく新鮮。小道具としてのスマホの使い方が上手い。
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