「一作目のような、コミカルでシニカルで爽快なアメコミ映画を期待してい...」ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ ナスビームさんの映画レビュー(感想・評価)
一作目のような、コミカルでシニカルで爽快なアメコミ映画を期待してい...
一作目のような、コミカルでシニカルで爽快なアメコミ映画を期待していたので、求めていたものとはやや違うなというのが正直な感想。
この手の映画にしては珍しく、クライマックスがどこかわからなかった。おそらくここがクライマックスなんだろうな、というシーンはあったのだけれど、確信できないまま映画が終わってしまった。
思想で説得したいなら(正義を執行しないなら)力だけで解決すべきではないし、力で解決したいなら思想のぶつかり合いはそこそこでいい。そもそも主人公がどっちつかずで、そこがリアリティと言えばリアリティなのだろうけれど、一作目ではこの作品のチャームポイントとなっていた主人公の性格が、本作では「くどい」要素になっていたように感じる。
主人公がそんな調子なので、おそらく異常者として設置されたであろうヒールの方が逆にあっさりしたありきたりな人物に感じてしまい、特に脅威だと思えなかった。あと、ヒールの恋人?はなんだったのか…パーツでしかない割にやたら濃いので、存在がノイズだった。悪役の純愛は大好きなので開始30分くらいはすごくワクワクしていたのに……。かわいかったのに…。
この主人公が嫌いというわけではなく、というかむしろキャラクター像としてはかなり好きな方なので、もっとバトルに振り切るか、あるいは内面の苦悩にフォーカスするか、上手く生かしてほしいと思う。
ただ、バラ窓をヴェノムが背負うシーンなど、「ここを見て!」と言わんばかりの気合の入った画が要所要所にあり、映像的には十分見ごたえがあった。「DEADSPACE」などの洋ホラーゲームを連想させるような刑務所のシーンもけっこう好き。
というわけで、総合的には、大衆映画の王道を行けばもっと面白かったろうに、少し残念だった、が、
3作目が出たら見るとは思う。