「俺たち(皆)は一つ。リーサル・プロテクター!」ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
俺たち(皆)は一つ。リーサル・プロテクター!
元々はスパイダーマンの敵役。
何度も何度も企画が上がっては消え、2018年に遂に単独作品として公開されるや否や、世界中でSWスピンオフ『ハン・ソロ』を超える大ヒット! アメコミ物が鈍い日本でも。
話が寝ちゃうくらい単純過ぎ。もっと残虐かと思ったらマイルドだった。悪役設定なのにまるでヒーロー。
そんな声もなんのその。
僕らのヴェノム(とエディ)が帰ってきた!
前作を見ている/設定は把握済みで話が進むので、エディとヴェノムについての説明描写は一切ナシ。
関係性が分からないなんて抜かしやがったら食っちまうぜ!…byヴェノム
あの危機を乗り越えた相棒どころではない、これぞ本当の“身体の関係”…いやいや、身体の共有。上手くやってるかと思いきや、
“悪人以外は食べない”というルール。普段食べるのはチョコレート。“表”に出る事もままならず、ストレスは積もるばかり…。何だか“制限生活”がうっすらコロナ禍を彷彿させた。
夫婦喧嘩みたいな口喧嘩が絶えなかったが、大喧嘩に発展。
コント“僕とヴェノム”もしくは“二人羽織”と言われたやり取りは前作よりユーモラス。大喧嘩シーンも何故か笑えてくる。
トム・ハーディが主演だけじゃなく、製作/原案も兼任。よほどヴェノムへの愛着を感じると共に、男臭いタフガイのイメージあるトムハが意外とコメディもイケる!
大喧嘩の末、ヴェノムはエディの身体を抜け出し、街の中に消える。まさかの決別…? この映画、どうなっちゃうの~!?
街を放浪するヴェノム。
とあるナイトクラブへ。
隠す事もなく、違和感もなく。だって、“仮装コスプレ”のナイトクラブ。
皆がウェルカム。
ヴェノムは壇上でマイク・パフォーマンス。そして、多様化社会へのメッセージ…!?
僕らのヴェノムが教えてくれる。
人に寄生しては寄生し、が、適応する人が居ない。
やはり“相棒”は…。
その頃エディは…
ちょっと時を遡って、ヴェノムと決別する前…。
服役中のシリアルキラー、クレタス・キャサディ。
エディとヴェノムの取材と調査によって、未発見の遺体を発見し、クレタスの死刑が確定。
エディはクレタスと面会。クレタスの挑発にカッとなり、掴み掛かろうとした時、腕を噛まれてしまう。クレタスは感じる、普通の人間の血ではない事を。
死刑執行の日。クレタスの身体の中に入ったシンビオートの血が覚醒。変貌し、カーネイジ(=大殺戮)を始める…!
カーネイジはコミックでは“もう一人のヴェノム”と言われる大敵だとか。本当は前作でも登場させる予定だったが、前作はエディとヴェノムの話を主軸にする為登場させず、この続編で丸々バトルの話にしたかったくらいのキャラらしい。
演じるは前作のED後の映像に登場したウディ・ハレルソン。もう余裕たっぷりの不敵な存在感、さすがの怪演であった。
刑務所を脱獄したクレタスはある人を探し求める。
クレタスのかつての恋人。彼女もまた別の刑務所に収監されている。
フランシス・バリソン。特異体質で超音波のような高音を発する事が出来る、またの名を“シュリーク”。
悪役パートは“ボニー&クライド”もしくは奇しくもウディの代表作『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のような犯罪ラブストーリー。
エディとヴェノムは未だ決別中。エディの元恋人アンの尽力で何とか仲直り。やれやれ、手の掛かる…。
カーネイジはヴェノムに、シュリークはエディと近いNY市警のマリガン刑事に、各々因縁と復讐。二人だけの結婚式にご招待。
マリガン刑事とアンが敵の人質に…。
いよいよ決戦の時。
が! カーネイジの姿を見たヴェノムが…!
アン役ミシェル・ウィリアムスら続投組に加え、シュリーク役ナオミ・ハリスらが新戦。
ウディと『ゾンビランド』で組んだルーベン・フライシャーが降板したのは残念だが、新監督にアンディ・サーキスなのがミソ!
モーション・キャプチャーの先駆者。だからなのか、今回のヴェノム、妙に人間臭く感じたのは気のせい…?
ここ最近のハリウッド大作を否定するような、100分弱の尺、単純明快痛快、スカッと楽しめる。
故に、ツッコミ所も。早速今回も話の弱さが指摘されてるようだが、個人的に気になったのは、
シュリークを探すクレタス。コンビニのネットで検索したと思ったら、次のシーンでシュリークが収監されている刑務所に難なく侵入。
…え? どうやって? ひょっとして私、その一瞬寝落ちして見逃した…?
…ではないようだ。簡単に助け出して脱獄。
その後の二人の暴れっぷり、展開もポンポンポンポン、とにかく早ッ!
まあでも、久々の100分弱ハリウッド大作エンタメ。
野暮は言うまい。言ったらヴェノムに食われちまう!(>_<)
クライマックス。
エディ/ヴェノム、アン、ダン(←誰?…なんて言わないように!)、マリガン刑事、クレタス/カーネイジ、フランシス/シュリークが入り乱れる大バトルは迫力満点!
カーネイジは強敵。あのヴェノムがビビってエディの身体に引っ込むほど。
勝算は無い。
死ぬ覚悟か、共倒れ覚悟。
しかし、唯一勝算があるとすれば…
共有。
クレタスとカーネイジは共有出来ていない。
シンビオートであるカーネイジはシュリークが発する高音が苦手。クレタスは彼女を愛していても、カーネイジは彼女を邪険。
そこに、隙がある。
人間は不思議な奴ら。別れたと思ったアンや役立たずのダンもバックアップ。
でも何より、俺たちは一つ。
お互い保護し合って、命の危険には助け合って相手に致命的なトドメを差す。
リーサル・プロテクター!
マーベル作品であるお楽しみその1。
ED後の映像にチョー興奮!
マジで!? マジなの!? ただの“匂わせ”じゃないよね!?
もし本当にクロスオーバーするなら、来年1月公開のアノ作品がさらに楽しみになってきた!
マーベル作品であるお楽しみその2。
今は亡きスタン・リー御大が思わぬ形で“出演”している事に、私は見逃さなかった。