「最悪を塗り替えられた」ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ chachaoさんの映画レビュー(感想・評価)
最悪を塗り替えられた
予告で最悪を塗り替えられるとありましたが、
まさか本当にそうなるとは。
それも自分がここ数年観た映画の中で最悪を塗り替えられるという残念なものでした。
劇中終始エディが頭を抱えていますが、唯一そこには共感できます。
ダラダラと喋るヴェノム、わめく刑事、ベラベラと御託を並べるカーネイジ…ウンザリです。
最悪を謳うサイコパスという設定なのに、牢屋の壁に死体の場所を書いててそれを盗み観たヴェノムにすぐにバレるってどう考えても間抜けすぎます。(それに長い間気付かない警察も間抜けです)さらにその間抜けな情報でエディが元の花形記者になるというこんなくだらない話に前半結構な時間を使います。
虐待を受け施設送りにされた悲惨な幼少期で狂った設定はちゃんと描けば説得力があるんでしょうが、本当に中途半端。元々のクズにしたいのかそれとも同情を煽りたいのかさっぱりわかりません。
さらに施設で出会った音波を発生させる彼女の存在は何の意味が?いなくても全く支障はないように感じました。
むしろいることにより見せ場の用意が必要になるのにそれもありません。
MCUに繋げようとする最後の画像も不快でしかありません。
MCUはアイアンマンから10年以上の歳月をかけてコツコツと積み上げた世界観があり思想があります。
ヴェノムに人権に意識したセリフを喋らせますが、何も考えずに盛り込んだのが見え見えなのが一番腹立たしいです。
ヴェノムの存在は人権に苦しむ人と全く異なる存在です。ですので彼らの比喩には到底なり得ません。そのヴェノムが発する無意味な発言に感動する人々を滑稽に撮るのはそういう状況下で悩み、苦労している人達に対する侮辱でしかありません。
使い古された演出、ごちゃごちゃと見ずらいバトルシーン、役の設定はどこかで見たようなものを単に持ってきただけで背景が全く感じられません。
ヴェノムとエディが婚姻関係であるかのような設定も、うまく使えばハマりそうなのにただただウザいだけ。
最悪です。