「観たかった度○鑑賞後の満足度◎ “これは現実で映画とは違うよ”“現実は夢を忘れた人達の世界よ”(この映画で一番好きなライン)。そう、映画の中では雨の1日で人生や運命が変わる事もある。」レイニーデイ・イン・ニューヨーク もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
観たかった度○鑑賞後の満足度◎ “これは現実で映画とは違うよ”“現実は夢を忘れた人達の世界よ”(この映画で一番好きなライン)。そう、映画の中では雨の1日で人生や運命が変わる事もある。
①ウディ・アレンの演出はもはや匠の領域。初期の頃や最盛期の頃の才気や鋭さ、繊細さは無くなったけれども円熟味は一級の職人技。
②この頃は『カフェ・ソサイアティ』『女と男の観覧車』そして本作と、再びニューヨークが舞台の映画が続いたが、『アニー・ホール』『マンハッタン』等のニューヨークが舞台の最盛期の映画とはまるで違う。
個人的には、自意識過剰でコンプレックスの塊でそれでもスノッブなインテリの主人公が喋りまくりながら女性を見つめる頃のウディ・アレン映画が好きなのだが、いつの頃からか様々な男女が繰り広げるドラマを俯瞰的に描くようになったウディ・アレン映画も悪くはない。
③あの頃のようなキャラクターは現代の21世紀の世界や映画界では歓迎されないのかもしれない。
この映画でティモシー・シャラメが演じるギャッビーも、経済的には親に頼りながら親に反発し、将来を決められずにフラフラしている青年像の方が現代的なのかもしれない(オッサンの視点だから思いっきり偏見に満ちているのかもしれない)。
④そのギャッビーが苦手の、ハイソ志向・スノッブ志向の母親の過去と何故そういう志向になったのか、を知るシーンがハイライト。
⑤ウディ・アレン映画定番の映画のトリビアを散りばめながら、自分の出自を知ってニューヨークでやり直そうとする青年を描いて、ウディ・アレンは次の世代にニューヨークへの愛を引き継ごうとしているかもしれない。
⑥蛇足:ジュード・ロウの額の禿げ上がり具合にはビックリした(人の事は言えないですが)。
ギャッビーの兄のフィアンセの笑い声には確かに萎えるかも。