ホテルローヤルのレビュー・感想・評価
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映像作品としては構成が?
原作は未読だが、釧路湿原に接するラブホテルを舞台に人間模様を描いた連作短編を、心ならずも二代目となった娘を主人公に再構築したもの。
しかし、一つの映像作品として観ると、構成が?マーク。主人公の心情があまりに無色透明で、作品としての芯が通っていない。
余貴美子の少女時代の回想が入ったあたりで「この映画は何?」と思ってしまった。
いい役者をそろえているのに、たいして見せ場がないまま、ただ羅列で終わっている。ロケーションも物足りない。
全体として、この映画に携わった関係者の熱量が感じられなかった。
後ろめたさと開き直りのラブホテル。
ラブホテルが舞台の映画と聞いて、もっと生々しい感じかと思っていたら、意外にあっさりしていて意外だった。原作者の自伝的小説というが、内気な女子を通して見たラブホテルであるため、激しい性愛は興味の対象ではないようだ。父親は略奪婚だし、母親は自分を捨てて若い男と逃げてしまう。男女の営みに消極的な考えを持つのもしょうがないかもしれない。美大の受験に失敗し、不本意ながら父親のラブホテルを経営することになった娘にとっては、現実を真正面から受け入れられず、ここは自分がいるべき場所ではないという思いがずっとあったのであろう。波瑠の感情を押し殺したような演技は、心の動きが読みにくいが、雅代(=桜木紫乃)になりきった演技と評価できよう。
ラブホテル内で起きた心中事件をきっかけに、事態は一変する。この事件を自分に引き寄せて考える事で、人生の傍観者だった雅代は、今まで嫌ってきた父のラブホテルを肯定し、自分の人生にも肯定的になれそうな場面で終わる。まさに「止まっていた時間が動き出す」という感じである。
ラブホテルの室内はかなり良く作り込まれており、地方都市のラブホテル事情みたいなものは興味深かった。しかし心情はすべて内面的な表現が中心であり、全体的に印象が薄くなっている。波瑠の、本来とは少し違う落ち着いた演技が見られただけでも収穫ありとしよう。
ラブホには色々な物語がある
母親の失踪により、いきなりラブホテルの女将になった娘の奮戦記かと思いきや、結構、鬱な展開が待っていた。
前半はコメディタッチの人情物として進行していて結構楽しかったが、女子高生と先生が登場してから急転。
一気にトーンが変わってしまった。
二人が自殺するのは良い。(一般的にはよくないが)しかし、そこからの遠退いた客を呼び寄せるのではなく、店を畳んでしまうとは。
いや、実際に同様の事が起こったら、同じような展開になるかと思うけど、エンターテインメントとしてどうなのよ?と思ってしまった。
全体的に何を訴えたかったのかよくわからない映画だった。
期待値が高かったからかな
原作小説は未読だが、「ラブホテル」を経営する家族の人間模様というテーマに惹かれた。…で、見終わった後、期待外れでちょっとがっくり。カネ払ってまで見るほどの作品ではない。
ここまでつまらない映画を撮ったのは誰? と調べたら、2014年公開、安藤サクラ主演の「百円の恋」の武正晴である。あの映画しか見てないが、あれは素晴らしい作品だった。その記憶もあったので、本作にも期待をしていた。
個々の登場人物の心の奥底、ラブホテルという場を作ったり、働き口として腰を落ち着けるしかなかった彼らについては、その背景を描いていても、その心情があまり伝わってこなかった。
それには、ひとえに主演の波瑠への遠慮が大きいような気もする。原作でヒロインがどう描かれているのか分からないが、一言でいえば、「もっと体当たりの芝居をしろ!」だ。
他の出演者のヌードのセックスシーンなどもある作品だが、波瑠に関しては中途半端な松山ケンイチとのベッドシーンだけ。
下着姿になったときに、ノーブラで立った乳首が透けて見えるくらいの演出、芝居があれば、まだ「オッ」と思わせたのだが。
つまり、つまらない映画ってことよ。
舞台設定が興味深かっただけに、腰の引けた演出と芝居にがっくりと言っておく。
波瑠が高校生。
まあ、有りっちゃあ、ありか?
容姿はそうは見えないが、引き込まれる。役者の巧さか。
この日、「タイトル、拒絶」からはしご。
どちらも伊藤沙莉出演。こっちのほうが好き。
エロいわけじゃない。
田舎のホテル、利用者は年齢層高いよ。
演出が好み
お話自体は武監督らしいベタだけどあっさりとした人情もので好みだし、演出も凝っててよかったな。
場面転換ではカットを割らずに、天気が変わることや窓の外の光の加減が変わることで時間の経過を表現したり、カメラが追って戻ったら別の人物がいたり。こういう取り方の工夫で見せる演出は、古い手法だけど楽しい。
またかつてその部屋で起こった出来事についてフラッシュバックで見せるのではなく、窓や鏡にその人物や影を写し込むことで思い出させる演出は、よりその場に残る思いの強さを感じさせる面白いやり方だと思った。こういう現実にはありえない絵的な演出は大好物。窓の外の美しい風景も含めて、映像的に見応えがある作品だった。
ラブホテルという空間が「心」を裸にする
原作未読。
ラブホテルの一室という非日常の空間で、それぞれの男女が日常は語らない想いや秘密をさらけ出す。
そのさまがなんとも愛おしく思える物語であった。
物語全体は淡々と、刺激少なく綴られており、物足りないという感想もあると思うが、過剰な演出がないからこそ人間の生き様のリアルを描いていると思う。
強く感情を揺さぶるだけが感動ではないということを教えてくれる作品だった。
往年の伊丹作品の様な匂いがする、ちょっと惜しい作品です。
面白そうな設定で興味を惹かれ、鑑賞しました。
で、感想はと言うと惜しい!
物凄く良い感じなのに、何かが足りない。
釧路にある歴史あるラブホテル「ホテル ローヤル」の廃業までの歴史を振り返ると言った、何処か寂しくて隠微な感じが好奇心をもぞもぞさせる感じが良いんですが、全体的に何かマイルド感があると言う感じで作品の全体の雰囲気は伊丹十三作品を思い出させる様な感じですが、そこにアクと言うか、毒な部分が薄いんですよね。
立ち入り禁止なのに勝手に忍び込んで、投稿ヌード写真の撮影をするカップルのスタートは良いんです。
隆盛を思い出させる様な映像もクロスさせて、ワクワク感があります。
ラブホテルと言う名前は今や古い感じで、ラブホテルと呼ばれる以前は連れ込みホテル、アベックホテル、モーテルと呼ばれていて、今はファッションホテルなんて呼ばれたりしてますが、ラブホテルと言った呼び方は何処か卑猥な感じがして、昭和レトロで隠微な匂いがプンプンしますねw
そんなラブホテルが舞台でホテル名が「ローヤル」とはベタベタな感じが素晴らしい。その辺りを狙ったとは思いますが、またエンドロールで流れる「白いページの中に」は柴田まゆみさんの役40年前の曲ですが、いろんな方にカバーされている名曲。
この選曲はめっちゃ良い♪ 良いセンスの選曲です。
そんなノスタルジーに浸れる感じの良い物が多いからこそ、作品にもう少し毒は欲しいです。
子育てと親の介護に追われる熟年夫婦なんかが使っているなんて何処か地域に密着した感じも良い。また部屋にはミカンが常時置いてあるなんてサービスもたまらんw
ラブホテルは非日常を求める場と言うのは分かるし、ワイゼツな部屋の雰囲気とミカンのギャップさが良いんですよね。
個人的には回転ベッドかウォーターベッド、鏡張りの天井や壁なんかも欲しかったですw
それぞれに悩みを抱え、行き場を失った女子高生と妻に裏切られた高校教師が宿泊した所から物語は動き出すんですが、そこまではまったりとし過ぎw
もう少し、他の事件と言うか、問題があっても良いのですが、どうにもスロースタート。
そこがマイルド感を感じさせてる。
心中事件が起こり、ホテルはマスコミの標的になる事でローヤルは廃業の道を辿っていく形になるんですが、そこまでが遅いかな。
またラブホテルを大学受験を失敗し、甲斐性のない父、大吉に代わり半ば諦めるように継いだ雅代は流される様にホテルを運営するんですが、何処か疲れていて、卑猥な感じと言うかエロの匂いがしない。
ラブホテルの経営者が皆卑猥な感じがする訳ではないんですがw、主演の雅代役の波瑠さんは透き通る様な感じがして個人的にはちょっと綺麗過ぎるw
だからラブホテルと言う隠微な感じから何処か遠くて、違和感があるんですよね。
また、アダルトグッズの営業マンの聡史役に松山ケンイチさんが演じられてますが、豪華なんですが、アダルトグッズの営業マンにしては男前過ぎるw
もう少しくたびれた感じの中年男性なら違和感も無かったかな?と思うのですが、綺麗過ぎる波瑠さんと男前過ぎる松山ケンイチさんのコンビがどうにも違和感を拭いきれない感じです。
余貴美子さんの疲れっぷりは凄いですw
夏川結衣さんは綺麗ですw
釧路の自然が良くて、釧路湿原や釧路川と言った風景に卑猥で何処か古臭い感じのラブホテルとのギャップさは監督の狙い通りかと思います。
雅代の美術への拘りや未練をもっと昇華する事で良くなると思いますし、言わんとしている事や狙っている事は分かるし、とても良い物があるだけに惜しい。
ミニシアター系の映画館を中心に上映していればスマッシュヒットな感じもしますが、今や「鬼滅」ブームで勢いに乗る東宝館での上映ではちょっと埋もれてしまいそう。
また、北海道の釧路が舞台なのに何故か名古屋の放送局「メ〜テレ」が製作幹事なのもちょっと変な感じです。
ちなみに北海道のラブホテルの多くはバリアフリー化が進んでいるそうです。
バリアフリー化を進めるのは良いにしても、そこに掛かる費用の捻出と地域の過疎化で利用客の現象で経営が厳しいホテルにはなかなか難しい所。
そんな儚さを兼ね備えた作品かと思います。
でも捨てがたい魅力があるので、興味がありましたら、如何でしょうか?
原作を上手く再構築している。背景に流れるタンゴがそこはかとない昭和感を漂わせて宜し。原作の持つ時の流れに対する無常感・諦感が薄まっているのは残念。
(原作既読)①連作短編の形を取っている原作は大変上手く出来た小説だ。ラブホテルを舞台に選んだのは良い視点だと思った。②さて、その映画化。最初と最後のエピソードはそのままに、間のエピソードを雅代を中心に時系列で綴ったのは脚色としては間違っていないと思う。③始まってすぐに、原作で「女の一生」ものの形でハイライトとなるミコさんのエピソードを先ず持ってきて一気に映画世界に引き込む。ここは上手いと思った。余貴美子も好演。ただ、友近は芝居も上手い人だが、北海道の開拓民には見えないのが難。④若い出入り業者と関係を持ちトンズラする雅代の母親役が、若い頃は清純派、最近は良妻役が多い夏川結衣なのがちょっと驚きのキャスティング。でも女優としての幅は拡がったと思う。⑤原作では高校教師と教え子の道行きだけを描いたエピソードを、映画は道行き後の心中までを描く(まあ、そうでしょうな)。ただ、この二人が何故心中という道を選んだかは原作と同じく具体的に描かず観客の想像に任せる。ここでは、伊藤沙犁が女子高生に見えるかは置いといて達者なコメディエンヌぶりをみせる。⑥原作にある貧乏寺の住職の妻のエピソードをバッサリ落としたのは映画の脚色として仕方ないとは思うが、その代わりにセックスというものが人間社会の中で一種の潤滑剤のような役割を果たしているということを表す意図は薄れてしまったうらみはある。(まあ、ラブホテルを舞台にしていることや松山ケンイチ扮するエッチ屋の存在を大きくしたことで代用していると言えなくもないが)。⑦映画はややコメディタッチを加え、背景に流れるタンゴやラストクレジットに流れる正に昭和のニューミュージックみたいな歌とかでノスタルジックな雰囲気を醸し出しているのは悪くない。ただ、原作で最後に男盛りの雅代の父親とまだ男に頼りきりの初さを持つ母親とが未来に夢を託してホテルロイヤルを建てる姿を描くことで(読者はその時点ではその後にホテルロイヤルがどういう運命を辿るかはわかっている)時の移り変わりの無常感・諦感をしみじみと(悪い意味ではなく)感じさせたが、その域までには達っしてなかったと思う。でもひとつの映画としては出来は悪くない。⑧性的な匂いを感じさせない波留を雅代にキャスティングしたのは良い選択だと思う。もっと肉感的な女優うであればもっと生臭い映画になったであろう。⑨不倫の話が多いが(私は不倫は良いことでは無いかもしれないが絶対的に悪いことだとは思わない)、愛という目に見えない不確かなものより(少しの例外を残して熱など数年で覚めてしまうし)、直接肉体を触れあう(即物的かもしれないが)行為の方が時にはより人間を結びつけてしまうものかも知れない。
みんな泣いている
原作未読です。
出演者、みんな泣いています。思わず笑ってしまう場面も多いのですが、結局、感情移入して泣けてしまいます。
画面を変えずに時間を超越する描き方はお見事。
出演者がすばらしい、特に表情をほとんど出さない波瑠さんが良い。
難しいのだろうけど窓の外の釧路湿原は合成感ありありで、なんとかならなかったのだろうか、これだけはちょっと残念。
20世紀によく見た日本映画のような映画です。若い世代には理解していただけないかもしれません。
ラブホテル内での出来事なのだが
個人的にはコメディ寄りだと思った作品。ラブホテルというある意味非日常の中で唯一日常を表す主演の波瑠さん自身が色のない演技が求められたので、非常に大変だったと思う。百円の恋の武監督に豪華出演者なので、期待は大きかったが、人によって解釈は変わるはず。
蜘蛛の巣?気付かなかったなあ。天井なんて見なかったからなあ。
世の中は、男と女しかいない。そして本能として性欲がある。その先にはただならぬ男女の関係もある。それを汚らしいと綺麗事を言う人もいる。そんな一切の事を知らずに、世の中のきれいなところだけ見ていてある時急にそれを見つける人もいる。そう、ベッドに横たわって蜘蛛の巣を見つけた雅代のように。
人間は他の動植物と違って文明を持っているが、自然界の中のちっぽけな一員でもある。まるで、広々とした湿原のなかにぽつんとある、ちっぽけなラブホテルみたいな存在だ。だけどその中では、いろんな人生を生きている男と女が、シャワーをあびて、ベッドに横たわり、身体を絡ませている。そんな場所が非日常の人もいれば、そこが日常の人も、またいる。世の中って、いろいろ。
設定は興味深く、登場人物たちの人生模様も悲哀にあふれてた。だけど、なんかそれぞれ(特に母)がそうなっていく心情の過程が薄い。物足りなさはそこか。
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