「人は変わっていき、変わってしまい、変われる」ホテルローヤル Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
人は変わっていき、変わってしまい、変われる
予告でなかなか面白そうと思い観賞
原作は知りませんでした
場末のラブホテルの娘雅代を主人公に
周囲の人々の様々な人間模様や悲劇を
綴りながら心の移り変わり
人はなぜ不倫をしてしまうのかをテーマに
グランドホテル方式で映します
ラブホテルだけど
感想としては
・意図の明確なカメラワークや演出
・極限まで薄味に作った主人公のキャラ
・異世界感十分な昭和ラブホの雰囲気
・エプロンの波瑠かわいいやんけ
・やや強引だが魅力的なキャスト
・時代設定は結構いい加減
・みかん
など大ウケはしなさそうですがかなり面白かった
高台から釧路湿原望む場末のラブホテル「ローヤル」
従業員はもはや関係が冷め切った夫婦田中大吉・るり子と
おばちゃん2人
そして美大受験に失敗し進路の決まっていない娘の雅代
雅代は家業に心底ウンザリしすぎて無感情に
ただただ客室のみかんを絶やさないなど
手を動かす日々でしたがアダルトグッズの
営業に来る妻帯者の宮川に淡い恋心を抱く日々
ところがそんな折るり子が酒屋の若者と蒸発
雅代ははからずもローヤルの切り盛りをする事に
なりますがそもそもるり子も不倫の末結ばれた
関係なのもあり父を許すことが出来ません
そんなある日客の高校教師と教え子の女子高生が
なんと二人で一室で心中
そのせいで大吉は心労で倒れ
ローヤルは客も来なくなり雅代はアッサリ廃業を
決意しますが最後に宮川に思いを伝え
来る客の事など考えもしなかったローヤルで
最後に宮川に迫り「客の立場」に初めてなります
結局宮川は一線を越えられず雅代の「恋した男」
であることがわかり未練なくローヤルを去ります
…その去り際すれ違うように何世代か前のクルマに
若き日の大吉と雅代が同じカットで降りてきて
ローヤルが開業する前の名前の理由やみかんを
絶やさなかった理由がハッキリして物語は幕を閉じます
このラストのシーンが印象的でした
景色が大きく変わらない北海道の片田舎
シャッター商店街などを逆手に取り時代変化を
演出に用いるなど感心させられました
昨今不倫を覚せい剤よりも重罪かのように
日々メディアやネットで叩く風潮には辟易としますが
なくそうと思ってもなくなるものではなく
交通事故と同じで当事者で解決するだけの事
別に自分は不倫は文化だとか思ったことはありませんが
正しい間違ってるで捉える事そのものがナンセンスじゃ
ないかなぁと思います
戦争と同じでそうなるまでに色々な理由があるわけで
波瑠のエプロン姿もかわいいし
北海道が舞台ならやっぱりヤスケンも外せません
松山ケンイチもかなり特殊な役柄を巧みに演じており
それだけでも観る価値あると思います
伊藤沙莉の女子高生は最初全然見えなかったので
コスプレかと思ってしまいましたが
ラブホの特殊な世界観に放り込んだ事で
奇妙さが際だって面白かったかもしれません
大人向けの作品かもしれませんが
やってたらオススメしたいです