「サスペンスと思いきや生活保護について考えさせられる作品」護られなかった者たちへ つくくんさんの映画レビュー(感想・評価)
サスペンスと思いきや生活保護について考えさせられる作品
震災と生活保護を題材とした殺人サスペンス
殺人に関してはリアリティがないけれど、生活保護を申請する側、受理する側、どちらも震災で疲弊していた状況は当時現実にあっただろうし、今現在も未来にも起こり得るのだろうと考えながら鑑賞した。
生活保護の不正受給や扶養照会を恐れての辞退など、現実的で根深い問題も扱っているため考えさせられる。
作中では生活支援課の職員が悪役的に描かれているが、一方では被災した墓地の片付けをしていたり、餓死を招いてしまったことを後悔していたり、そう単純ではない。誰しもが護られなかった者、あるいは護れなかった者として、天災および人災の被災者として描かれている。
護られなかった存在として描かれるおばあちゃんだが、震災孤児となった主人公達を護り、生活保護を辞退することで生き別れた娘を護ろうとした事もどこか皮肉的だ。
全てを救うことはできないと悟りつつも、せめて、助けるために声を上げて欲しい、助けてもらうために声を上げて欲しい、この辺りが作品として伝えたいメッセージなのだろう。
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