「社会派サスペンスだが・・」護られなかった者たちへ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
社会派サスペンスだが・・
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連続殺人とサスペンス調ではあるが舞台になった東北の震災の被災者の状況が生々しいことに加え生活保護給付の瑕疵のような描写が実態の様で関心がそちらにばかり注がれ、事件性が薄れてしまった。
もちろん、原作者の中山さんや脚本・監督の瀬々さんも独自の取材、裏付けはされたと思うが、国や自治体への告発性を込めたメッセージの信憑性については鵜呑みに出来ないのが映画の弱みかも知れません。
厚労省は被災者への支援に関する生活保護適用に関する特別通知を再三出してはいますが実際の運用は現地の福祉事務所に委ねられており実効性は不透明ですし課題も多々あるような一部報道も聞きます、政府やマスコミは震災復興についての総括を今一度して欲しいと感じました。
映画では幹ちゃんは女性に代わっていますがミステリーならではのひねりを強調したかったのでしょうかね、女性だと後味の悪さを感じます。利根も幹ちゃんも性格描写にバイアスがかかり過ぎで不自然、意外性の演出意図が稚拙且つ露骨でした。
ラストの利根と笘篠(とましの)刑事のやりとりも蛇足のように思えました。阿部さんの表情で語る演技が素晴らしいだけに陳腐なセリフは白けます、息子が見殺しにされたと聞いて「ありがとう」はないでしょう、涙するだけで受けとめは観客それぞれに委ねるべきシーンのような気もします。
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