劇場公開日 2021年10月1日

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「ふざけんな。」護られなかった者たちへ せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ふざけんな。

2021年10月6日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

人気のない民家やマンションに放置され餓死させるという殺人事件を追う現代の話と、震災直後のある青年の話が交錯していくミステリー。
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今作で中心となる問題は震災かと思いきや実は生活保護について。劇中では、生活保護費を不正受給している人(決して不正受給といって悪人でもない)もいる反面、申請しても通らない人、自力で生活できない事を認められない人、迷惑をかけるからとなかなか申請を出したがらない人色んな人が出てくる。
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特に自力で生活できないという理由で国にお金を貰うのを申し訳ないと思っている人って、あまりに日本人らしい考え方だなと。『パンケーキを毒見する』でも「日本人は自分の収入が低いことを全部自分の責任だと思いがち」って言ってたみたいに自分が悪いせいで生活ができないのにお金を出してもらうなんて恥ずかしい/申し訳ないって思ってしまう。

最後の幹子の言葉のようにもっとわがまま言っていいはず。自分の境遇を人のせいにしすぎてるのがアメリカのトランプ支持者だったりもするんだけど、日本人はわがまま言わなさすぎなんだろうな。こういう国民性、が劇中でも語られる「日本の生活保護取得率は諸外国に比べて低い」こととも関係してる気がする。もっと「ふざけんな!」って叫ぼう。

瑛太さん演じる市役所の職員は震災で崩壊した墓を直すのを自費でやっていた善き人ではあるけれど、結局今生きている人には目を向けていないのが皮肉。

概ね素晴らしい作品だったと思っているけれど、途中真っ黒のフード被ったいかにも怪しげな利根が幹子に会いに来るシーン、幹子の同僚見た瞬間に「あ、では」って普通に帰ってったけどもうちょっと警戒してくれ~~。日本人の意外と不寛容さを表したかったのかどっちよ。

せつこん