「テレビシリーズのファンで、前回のお正月スペシャルではちょこっとエキ...」劇場版 きのう何食べた? りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
テレビシリーズのファンで、前回のお正月スペシャルではちょこっとエキ...
テレビシリーズのファンで、前回のお正月スペシャルではちょこっとエキストラ出演しました。
それにしても、劇場映画になるとは思わなかったなぁ。
いまでは、西島秀俊といえばシロさん、内野聖陽といえばケンジですね。
いっしょに暮らす弁護士のシロさん(西島秀俊)と美容師のケンジ(内野聖陽)。
しまり屋のシロさんから、誕生日のお祝いにと、一緒に京都旅行に行くことになったケンジ。
だが、家計に厳しいシロさんがこんな豪華な旅行をプレゼントしてくれるなんて・・・と訝しんだケンジの頭には、
浮気、別れ、もしかして重病で死が近い・・・と余計な妄想が湧いて来る・・・
といったところからはじまる物語で、実はシロさんからケンジに対するお詫びだったと打ち明けられます。
そのお詫びというのは、
正月に、はじめてケンジを実家に連れて行ったシロさんだったが、その後、ひとりで実家に戻ったところ、重大なことを両親から打ち明けられる。
正月は和気藹々と過ごしたが、ふたりが帰った後、シロさんの母親(梶芽衣子)が寝込んでしまった。
頭ではわかっているつもりだったが、やはり、同性のパートナーと並んでいるところを見たことが相当ショックだったもよう。
なので、今後は、ふたりで来てくれるな、と。
大したことではないような事柄だけれど、実は厄介なこと。
頭ではわかっているつもりだったが・・・というところが厄介で、いっそのこと、同性のパートナーなんてとんでもない、と頭ごなしに否定される方が楽なような感じもする。
まぁ、価値観というか、考え方の溝というか、そういうものを埋めていくのは、頭ではわかっている・・・方がいいのかもしれないけれど。
映画は、その後も、そんな、大したことではないような事柄だけれど、実は大したこと、のような事柄が綴られていきます。
シロさんのスーパー仲間の富永さん(田中美佐子)に孫ができることをやっかんで、「そんな孫が大切なの」とすねちゃう航くん(磯村勇斗)。
その航くんが数日、帰宅していないと慌てふためく同性パートナーの小日向さん(山本耕史)。
ケンジが同僚の若い男性スタッフと親密な関係では・・・はたまた、病院通いは重病なのか・・・と気に病むシロさん。
これらのエピソードが表わしているのは、日常のちいさな幸せ、そんな幸せはふとしたことで壊れてしまうかもしれない、ということ。
「ぼくたちが感じている幸せは、些細なことで壊れてしまうのです!」というのは、小日向さんがシロさんに向けた言葉なのだけれど、それは同性カップルに限ったことではなく、誰もが皆、ふとしたことで「幸せな日常」は消えてしまうことを、新型コロナウィルスが蔓延し、大変なことを経験したわたしたちは知っている。
それが感じられるいま、スクリーンで他の人々と一緒にこの映画が観られることが幸せなんだ、と改めて感じました。