「誰かのうれしいことって、やっぱりうれしい!」劇場版 きのう何食べた? おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
誰かのうれしいことって、やっぱりうれしい!
ゲイカップルのケンジとシロさんの平凡な日常、でも二人にとっては大切な日常を、おいしそうな料理とともに描く、テレビドラマ「きのう何食べた?」。シロさんLOVEなケンジ役の内野聖陽さんが見せる乙女演技と、照れ屋で真面目なシロさん役の西島秀俊さんが作る手料理が魅力で、毎週楽しく視聴していました。そんな二人に再会できる劇場版の公開を楽しみにしていました。
主演の二人に加え、山本耕史さん、磯村優斗くん、田中美佐子さん、マキタスポーツさん、梶芽衣子さんらのレギュラーキャストが顔を並べ、いつものほっこりした雰囲気をしっかり堪能できました。初見の方でも楽しめる本作ですが、レギュラーキャストとの過去エピソードが本作の下地になっている部分もあり、特にシロさん親子の関係性は重要なので、できればテレビドラマを先に視聴しておきたいところです。
冒頭、京都旅行の話になり、愛するシロさんとの旅行に胸躍るケンジのはしゃぎっぷりが描かれます。安定の乙女演技で、もうこれを観にきたと言っても過言ではなく、観ているこちらまでうれしくなります。そんなケンジが、あるシーンで「誰かのうれしいことって、やっぱりうれしいじゃない?」と言います。まさにそれです。上映中、この言葉が頭の中で繰り返され、互いを思い合うケンジとシロさんの姿に本当に癒されました。
LGBTQという言葉もすっかり世間に浸透し、性の多様性が公に認められるようになってきました。しかし、個人レベルではどうでしょうか。まだまだ偏見や嫌悪感を抱く者も少なくないのではないでしょうか。だからこそ、LGBTQの人たちはカミングアウトをためらったり、人目を気にして行動したりするのだと思います。こんなことを言う自分も、身近にそんな人がいたらどのように接するでしょうか。シロさんの母がそうであったように、頭では理解しつつも気持ちがついていかないのではないでしょうか。
そんなまだまだ浅い理解しか示せない世間に対して、本作は一石投じているように思います。だからといって、それほど強い主張が込められているわけではありません。手軽に買える食材で、そこまで凝っていなくても、食べる人の笑顔を想像しながら作るシロさんの手料理が毎日の食卓に並べられるように、あたりまえのものとしてそこにある。そんな寛容な世の中なら、ケンジとシロさんはもっともっと自然でいられる、それだけのことだと思います。
二人の姿から、日常をともに過ごす人がいる幸せ、その人を本当に大切に思う愛が、痛いほど伝わってきました。ラストでシロさんの母が「これからはあなたの家族を大切にしなさい」と言います。シロさんにとって、ケンジにとって、これがどれほど優しく温かくうれしい言葉だったことか…。気づけば、涙があふれていました。誰かのうれしいことって、やっぱりうれしいですね。
終演後もしばらく席を立てず、余韻に浸っていました。ケンジ、シロさん、末永くお幸せに!
おじゃるさん 共感ありがとうございます!
おじゃるさんのレビュー「LGBTQ~それだけのことだと思います」のところは 全く同感です!というか 感動しました!本当にそうですよね!2人のお互いを想う気持ちが とても素敵な映画でしたね!シーズン2期待してます!