劇場公開日 2020年11月20日

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「とてもやりきれない辛い気持ち」滑走路 puccinoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5とてもやりきれない辛い気持ち

2020年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

自分は幸か不幸か今の仕事や生活に満足もしていなければ不満もない。
頭も賢くなければ世間知らずでもない。
理想とか目標とか目指すものやあるべき姿が何も想像できないまま、
ただ今を生きている。これからも生きていく。多分。
何のためにとか何が楽しくてとかそんなことは何も考えられない。

こんな世の中だからとか、生きにくい社会だからとか、努力が足りないとか
安易な言葉で片付けたくはないのだけれど、
現実社会のどこかで日々起きているであろう他人の人生の出来事を
自分の今の現状と過去とを照らし合わせて決して他人事ではない気持ちになって観ていました。

ただ考えてみたら今の自分の職業は、10代の頃に夢見ていた職業に近いところに就いている。
それは自分の努力ではなく、家族の支援や助言をくれた人がいたからであって。
感謝の言葉を言ったことはないけれど。
鑑賞後そんなことを考えさせてはくれました。

最後の橋の上のシーン。
数年後自殺をしたのをわかって観るこのシーンはなんとも言い表せない気持ちになり、とてもやりきれない。
彼女の存在の大きさ、悲しくも素敵な別れを経験したのに。のちにその記憶が自分を苦しめるなんて。
不謹慎かもしれないが、自死を美化しているようにも少なからず感じてしまったのが正直な感想です。

彼の存在は今を生きているふたりの心と母親の心の中でこれからも生き続けていくと思えば
救われるのだろうか。

puccino