「がん細胞が切ない」「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ! スキピオさんの映画レビュー(感想・評価)
がん細胞が切ない
体内の細胞を擬人化したアニメ、はたらく細胞の新シリーズです。
今回は「善玉菌と腸内細菌」と「がん細胞」。善玉菌は、わぁー乳酸菌ちゃん可愛い、血小板ちゃん、可愛い! あと今回は「うしろまえちゃん」も!
で、がん細胞、は結構、深い話でした。がん細胞は第1シーズンでも取り上げており、今回は2回目。これまで2回以上取り上げられたテーマはなく、何故?たぶん、それは次のような意図があるのではないか、と。
① 生命にとっての大きな矛盾
がん細胞というのは、めっちゃ大雑把に言えば、勝手に増殖する細胞、です。では、勝手に、というのはどういう意味かと言えば、、、。逆に正常な細胞というのは「アポトーシス」と呼ばれる「決められた寿命をもって死ぬ」存在なのです。がん細胞は「アポトーシス」を無視して生き続け、増殖し続ける細胞なのです。
これって、細胞を一個の生命と考えると、決められた寿命で死ぬのが正常で、それを拒み生き続けるのが異常(=がん細胞)ってこと。どちらの方が「生命」としては「自然な姿」なのでしょう。生き続けたい、という「欲望」や「願い」は、そんなに悪いことでしょうか?
② がんという病は進化の副産物?
がん細胞が発生する要因は、これまた大雑把に言えば、数多く細胞分裂することにより発生するエラー、です。
細胞分裂でエラーを起こすことは、功罪あり、それが「功」となれば、積極的に新たな環境適用が生まれることになります。つまり、有性生殖による交配以上進化のスピードが上がる「可能性」です。がん細胞は、その「罪」の側面とも考えられます。
また、他の哺乳類と比較すると人間が「がん細胞」が原因による死が多い。その理由はアニメのなかでもあった、免疫抑制機能が強い、ということ。これは一方で、人間の免疫力が半端なく強いので、正常な細胞をも攻撃してしまう、ことに起因しています。花粉症考えれば、分かると思います。
環境への対応力が強く、高い免疫力を持つが故の副産物が「がん細胞」である、とも考えられる。
アニメではこうした「がん細胞」の複雑な意味を表しています。まさに人体の神秘であり生命の不思議です。そこがこのアニメの深い部分。それを擬人化という手法を用いて、子供から大人まで「感覚的に」伝えることが出来ている秀逸な作品、だと思います。
③ とは言え、やっぱ「AKIRA」がやりたかったのでは?
最後は、いい加減な話。やっぱ、AKIRA、がやりたかったですよね。がん細胞君の動きってAKIRAの「鉄雄」じゃん。で、さらに言えば「エヴァンゲリオン」と「風の谷のナウシカ」と「進撃の巨人」でしょ〜? がん細胞は「カヲル君」で、今回は羽で飛翔する使徒でしょう。また、分裂したがん細胞が集合体となっているシーンは「巨神兵」そのもの。さらに、NK細胞が首筋を切り裂くシーンは「進撃の巨人」じゃーん。
原作がしっかりしているので安心感があります。アニメーション的には、これといって言及する点はないですが、あえて苦言を言えば、OPを取り直したことと、EDを差し替えたことかな。
OPはTVアニメ版での花澤香菜の「毎日、毎日、修行中、『うぅ!』」の最後の「うぅ!」が超絶可愛かったのに、歌い直しで無くなってたぁ〜。あとEDはClariSの「CheerS」が作品世界とマッチした名曲だったのになぁ〜、と。