劇場公開日 2020年10月30日

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「アメリカ人の想像力」ザ・ハント R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アメリカ人の想像力

2024年6月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

アメリカ人は面白いことを考える。
映画で人が人を狩るという物語はとても多いように思う。当然狩られる方に主人公がいるが、日常的にアメリカ人は「何者」かによって搾取され続けているという感覚があるのだろうか?
この作品は少し前に起きたピザゲート事件やエプスタイン島事件などをモチーフにしたものだろう。
陰謀論を挙げればきりがないほど出てくるが、それが実際にあったと、最終的に確定できないことで陰謀論にカテゴリされるのだというのは多くの人が思っている。
また、
理由はわからないが、彼らは事前にそれを公表しているようで、アニメのシンプソンズやイルミナティカード、映画、ジョージアガイドストーンなど様々な媒体を使って広く一般的に伝えているようだ。
これらが第1級の陰謀論だとすれば、この作品はピザゲート事件と同類級の物語だと思われる。
つまり公表もしないし、バレてはいけないのだ。
今回の「HUNT」主催者はアッシーナだった。彼女の動機は、チャットが陰謀論者らによって暴露されたからだ。SNSはそれを信じる者がいる限りコピーされ新着されて多くの人々の目に留まる。
些細なことがきっかけでバレるのだ。アッシーナは財団からクビを宣告された。これがきっかけで彼女は陰謀論者を集めクロアチアにある「荘園」なる場所で人間狩りを繰り広げるというのがこの物語だ。
この作品ではウサギと亀の物語などが語られ、この作品の象徴となっているが、実際にはクリスタルがアッシーナを始末してから彼女の食事を食べドレスを着てジェット機に乗って帰国するという動作だけに掛かっている。
また、しばらくするまで誰が主人公なのかわからないのも特徴だ。
さて、
このクリスタルは登場人物の中で最も本当のことを言わない。「標的」を装うハンターがいることを知りそうしたのだろうか?
アッシーナとの決闘では、近所に同姓同名がいることを言った。そしてそれを最後まで貫いた。
クリスタルが一緒に逃げる男にウサギと亀の話をするが、そこには奇妙な付け加えがある。その内容は異常だ。母が語ったというその物語は、母が狂っていたことを示唆する。
つまりアッシーナの調査に不備はなかった。まだ組織の全貌がわからないことで、アッシーナの質問に嘘をついたのだと思うが、この物語には直接関係ない些細な人物設定は、物語の奥行きを深くしていると感じた。
そして、
アッシーナのセリフに「大事なのは私が正しいかどうか」というのがあるが、これこそがアメリカ一般市民が感じている「差別」かもしれない。
私が正しくなければいけない
そのために人間狩りさえ行う。
暗殺ではなく、人間狩り
それは「楽しむため」
コンサルタントまでつける本格的な遊び
アメリカ一般市民が金持ちの「遊び」を想像すると、こうなるのだろうか?
あまり気持ちいい作品ではないが、一応ハッピーエンドの部類になるので、そこだけがホッとした。

R41