「確証を必要としない今日日の被害者意識の暴走は"人間狩り"を新たなステージへと誘う... 対立が渦巻く"動物農場"に中立の使徒が舞い降りるドギツい風刺映画」ザ・ハント O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)
確証を必要としない今日日の被害者意識の暴走は"人間狩り"を新たなステージへと誘う... 対立が渦巻く"動物農場"に中立の使徒が舞い降りるドギツい風刺映画
公開当時はまだまだ自粛ムード漂う中で、本作の予告編も劇場の幕間の時間に流れているのを観た筈ですが、"富裕層が貧困層をターゲットに狩りを楽しむ"というジャンクフードの如き娯楽性になんとも言えぬ地雷臭を感じ、ええいままよと割り切って突っ込んでも良かったのですが結局スルーしてしまっていました。
表向きには偶然の選定ミスで巻き込まれた女性がゲームの仕掛人たちを駆逐していくヒロイックなバイオレンスアクションでしたが、背後にはジョージ・オーウェルの『動物農場』の現代への落とし込みがあり、現代ゆえの珍妙で複雑怪奇な人々の対立構造を浮き彫りにしていきます。
噂や妄想で犯人を仕立て上げるロジックは"魔女狩り"が慣用句とまでなっているように古くから存在していますが、今日ではSNS等の発達によって社会的な立場の強弱に関わらずその餌食になる、すなわちどこにいるどんな立場の人でもその対象に成り得る、という点に於いて現代的な恐怖が有ります。
ラストは意外にもアッサリしており、たとえばゲームの勝利者が世間に祭り上げられて新たな当事者に・・・といった皮肉たっぷりな結末であればより胸クソ映画としての評価は高まったかも?とは思います。
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