「女がバンドをやって何が悪いの?」ジョーン・ジェット バッド・レピュテーション きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
女がバンドをやって何が悪いの?
最近観た映画「セイント・フランシス」。
主人公の子守り=34歳の女性と6歳の女の子がジョーン・ジェットのメイクで、台所で踊り狂っていた。
2人はジョーンのファンなのだ。不安の中で彼女たちはシャウトしていた。
その流れで今回、本作にたどり着いた。
【語録】―夢中になってジョーンの語る言葉をメモに書き取った。以下
女がロックをできることに夢中になっていた。
男と同じくらいできるし、ロックをやる女はクールでセクシーなの。前例がないからみんなにウケると思った。
私たちが男性バンドと同じように真剣に活動したいのだと分かると世間の反応は一変した
”かわいいね“だったのが“アバズレ”や”尻軽女“になったの。
ケガもさせられた
ビール瓶で頭を割られたり、バッテリーを投げつけられて肋骨にヒビが入ったりした。大きな金属の塊よ。
女ってだけでね。
なぜロックをやるだけで憎まれるの?
でも私は使命感を持っていた。
初期のインタビューではバンド内でのセックスに付いて聞かれた。
こう思ったわ、
この質問に答えればランナウェイズは色モノ扱いされる
音楽の話をしなきゃいけない。
女だからといって
セクシャリティについて話す必要はない。
女がバンドをやって何が悪いの?
目くじらを立てる問題じゃないはず、
心でやるって思ったわ。
・・
ごきげんなドキュメンタリーだったが、彼女がこれまでどれほどの妨害と苦労の道を歩んでいたのか、ひしひしと伝わってくる内容だった。
そのギターサウンドと歌を聴けば、誰でも直感でその真髄が分かると云うものを、なにゆえ男たちの耳と目は、そして男どものハートは、男社会のフィルターを通してしか音楽を感じ取れないつまらん物になってしまっていたのかね。
前述の「セイント・フランシス」で登場する女たち全ての、腹の底からの叫びを見て、なぜ監督はジョーン・ジェット推しだったのか、よく分かった気がする。