「皮肉、比喩、ウィットある会話が好きな人にお勧め」お名前はアドルフ? はなもさんの映画レビュー(感想・評価)
皮肉、比喩、ウィットある会話が好きな人にお勧め
見終わった後は、儲けもん、面白かったなぁと言うホクホクした気分。
会話劇を映画にしたと言う事で、小難しいのかと思っていたが、そんな事はなく、会話自体が面白い。
皮肉と比喩、ウィットに富み、会話に引き込まれていく。
ただし、そのシーンは、四人食卓に向かい合ってすわるそれそれぞれの顔に、焦点を当てながらグルリと回って映すものだから、観客の私はちと落ち着かない。他にもカメラワークは、難ありの点あり。
けれど、話は、すごく面白い。
登場人物は、ほぼ四人だが、その関係性がおかしい。
姉弟、姉が親友と呼ぶ中年独身男性クラリネット奏者ルネ、ルネは姉弟と一緒に育ってきた。そして一言居士のステファン、ステファンと小学教師エリザベスは夫婦なのだが、二人は小学校の同級生。いわば皆、幼なじみなのだ。つまり幼い時の思い出を皆が共有している。
で、話は、不動産会社経営の弟トーマスが、産まれて来る子にアドルフと言う名前にしたと言う事から、文学教授でもあるステファンは異を唱える。トーマスは、それに対して、名前とは関係のない事を絡めステファンを批判していく。それは幼なじみの気やすさ故か、批判とステファンに対する自分の本音が暴露されていく様子と他の二人の様子。暴露合戦や批判が波及していき、それが張り詰めた糸の様になり、目が離せなくなる。
この映画の監督らしくって言うか、ドイツだからか、難民問題や差別も絡めてある。だからカレーなのか?ドイツ人が、カレーを作っていた、しかもライスカレー、フォークで食べるシーンがある。へーって思った。
最後のシーンは、〔はじめてのおもてなし〕にも同じようなショットがあったような気もするけど。が、しかし、おかしみがありどんでん返しもありなかなか見応えがある映画だと思う。