「生死は運命が決める。富は天が決める。友情は俺たちが決める。」追龍 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
生死は運命が決める。富は天が決める。友情は俺たちが決める。
2大トップスターの共演。本作では、ドニー・イェンとアンディ・ラウ。
裏社会で生きる者と、刑事。
二人が築く友情と、絆。
遂に訪れた亀裂と対立、破滅…。
定番ではあるが、やはりこの手の中国/香港ノワールは面白味ある。
W主演になっているが、実質主役はドニー。
仕事を求め、中国から香港にやって来たチンピラのホウとその仲間。
助っ人としてマフィア同士の喧嘩に加わり、警察に逮捕。イギリス人刑事に暴行を加えられるも、腕っぷしや度胸の強さを署長のロックに気に入られる。
ロックの後ろ楯もあり、麻薬売買でのし上がっていく…。
ただのチンピラから名を馳せた麻薬の大物へ。
まさに、アンチ・サクセスストーリー。
いや、ホウの言葉を借りるなら、
生死は運命が。富は天が決める。
一方のロックもホウや他の悪党を配下に置き、麻薬や賭博や売春などを絶対的にコントロール。実績を挙げていく。
…しかし勿論、やってる事は汚職。
フィクションかと思ったら、1960年代の香港に実在したマフィアのボスと警察幹部がモデル。
冒頭の説明によると暗黒時代もあったらしく、確かにこんな事があってもおかしくなかった…かも。
それ以上に衝撃だったのは、掘り出しても掘り出しても、汚職汚職汚職だらけ。
そしてイギリス警察の傲慢。1997年までイギリスの植民地だった香港。苦渋も舐めさせられたのであろう。ホウも激しい憎悪あり。
クライム・エンタメだが、ポリティカルや歴史の面もある。
動のドニーと静のアンディも合っている。
常に熱いホウ。当初は生きる為、金の為。が、地位や金を手に入れてからは、何より“ファミリー”を大事にする。そんな“ファミリー”に魔の手が…。
常に冷静なロック。男前でクール。が、警察内部の一斉汚職摘発が始まると、国外逃亡しようとする。身の保身。ホウが“ファミリー”を殺したイギリス人刑事に復讐しようとする時も、警察側に付く。
マフィアと刑事、当然かもしれない。絶対にあってはならない。
が…。
当時の香港をセットで再現したらしく、雰囲気たっぷり。
テンポも悪くなく、悲壮のドラマやスリリングなシーンやバイオレンス、アクションもふんだんに。
アクションの一番の見せ場はやはりクライマックス。
ホウとその仲間vsイギリス人刑事とその一派。
そこへ駆け付けるロック。
交錯する因縁と決着、漢同士のドラマの行方は…。
生死は運命が決める。富は天が決める。
個人的にこれに付け加えるなら、
友情は俺たちが決める。
龍の如き漢たちの姿を追え!