「良作です❗️」空白 アンディぴっとさんの映画レビュー(感想・評価)
良作です❗️
なんとも辛い気分になる映画。そもそも花音は万引きをしたのだろうか?監視カメラもないからはっきりしたことはわからない。でもそれらしき行為を見つけ、疑惑がバレないまま逃げ出せば、店長としたら追いかけるのは当然。では逃げる者を追いかける正しい方法は?わかりません。最初に花音を跳ねてしまった女性は?急に飛び出してきたら避けられないのでは?
2度目に轢いたトラック、急ブレーキをかけても間に合わなかった。不運が重なってしまった。花音はもう戻ってこない。しかも無残な遺体。親としたら辛いです。いかりをどこにぶつけていいのか、、、気持ちはわかるが、添田の態度はどうなんだろう。学校でいじめがあったのでは、と学校に詰め寄る。元妻が色々とそうではないと話しかけても聞く耳を持たず話も途中で一方的に打ち切る。元妻が言う通り、花音の何を観てきたの?その通りだ。と添田に少し怒りを感じる。学校にも。聞き取り調査をしていじめがなかったとわかれば、怒りの矛先を学校から外らせようと、スーパーの店長青柳のある行為を伝える。確信があるのか?曖昧な状態で伝えることではないでしょう。
学校の担任の先生の言葉にも怒りが。冒頭の花音が花を作っている場面。確かに時間配分を考えることも大切で、自分で丁寧さを程々にする、誰かに助けを求めるなども大切かも知らないが、明らかに困ってしまうだろう状況下、生徒の性格もわかっているのだから、あんな突き放した言い方はないと思う。もう少し助言の仕方があるだろう。冷たすぎる。死んでしまった後で、要領が悪い子でもその子なりに頑張っているのでは?と言っていたが、もっと早くそんなことは気がついてほしかったな。人はみんな出来ることの度合いもペースも違うもの。遅くても、怠けているようでも、本人は本気で必死に努力してやっている、ってことは多々あります。学校でも社会でも。あの追い込み方はとても辛いと思う。
後、怒りを感じたのはマスコミ。青柳でのインタビューをTVで放送する際、なのインタビューの切り方は悪意があるとしか思えない。スーパーの窓や花音の家に落書きをする市民もとんでもないやつです。
ついでに、怒りとまではいかないが、スーパーのパートのおばさん、お節介がすぎます。親切のつもりだろうけど、ちょっと行き過ぎ。ランチに行く約束があるからとチラシ配りを断った人に対してあの圧力はダメでしょっ、あくまでボランティアなんだから。
命を助けたとはいえ、どさくさ紛れにキスをするのは、確かに気持ち悪いです。
最初にはねた中山さんが自殺してしまう。せめて謝罪を添田が受け入れていれば、とも思う。中山さんの母の言葉がまた辛い。でも母親なら同じことを思ってしまうだろうなあ。
最後に、元妻にひどいことを言った添田が、素直に反省して謝罪をした。謝ることができるようになったのは進歩です。いつか青柳にも謝れる日がきますように。戻ってきてくれた青年との関係性を良いものに出来るといいけど。
娘のことを理解していなかったけれど、娘も父に心を開けなかったのかもしれないけれど、同じ空を見て同じ雲を見て同じように感じていたんだなあ、と最後に少し救いがあるように思えるラストは良かった。暗い気持ちのまま終わらずに済んだ。