「折り合いのつけ方と感情の錯綜が見事。」空白 キッスィさんの映画レビュー(感想・評価)
折り合いのつけ方と感情の錯綜が見事。
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万引き(未遂かは不明)した女子高生、追跡されひき逃げされる
追いかけるスーパー店長
ぶっきらぼうで職人肌の娘を亡くした父親
心の病も抱えて再婚した元妻で高校生の実母
ボランティアもする正義感強いが空回りで周りがついていかないスーパー店員
そして正義感・罪悪感を抱える担任と事なかれ主義の他の学校側
その人たちがそれぞれの思いをぶつけたり、嚙み殺したりしながら葛藤する作品。
飛び出しをしたとはいえ、ひき逃げを起こしてしまった女性は良心の呵責から自死してしまうが、その母親が高校生の父親に対する態度は誰にでもできることではない。
あなたがここまで責めるから娘は死んだんだ、と問い詰めることもできるのに、強い娘に育てられなくてごめんと謝罪するのは父親ではなく母親だからこそできるのではないかとも思う。
それから父親も少しずつ変わっていくターニングポイントとなる。
こういうことは怒りから生まれるのではなく、当事者の誰かの強さが変えるきっかけになるのだ、ということをこの作品から教えてもらった。自分のことに置き換えて見た作品にもなった。
ボランティアにも力を入れて、正義感強いのはいいけど、その正義感を他人に押しつけるのは本当に迷惑なことで、活発だけど孤立に繋がるのだ、というメッセージもちゃんと受け取りました。
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