「面白かった!」空白 ヤチトリさんの映画レビュー(感想・評価)
面白かった!
全てが、「あ、こんな人居そう」て思える感じが最高でした。
脚本は元より、演者さんの質が素晴らしい!
筆頭は古田新太さんですね。
粗野で自分の理屈で無理を通そうとする人物がドライバーの自殺とそれに伴う母親の態度から自分を顧みるまでの変遷を非常に滑らかに演じられている。
娘にとても愛情を抱いている様に見えないけど、死なれちゃうとそのやり切れなさに執着してしまう、その執着の仕方も間違ってはいるんだろうけど「そうなるよな、納得いく訳ないもんな」と思えるあたりがもう、なんていうか、胸が詰まるというか…
「娘は万引きなんかしない!そもそも化粧なんて興味ないんだから!」と言っていたけど「本当に娘のことを知っていたのか?」と問われ揺らいでしまうとことか、もう遅いんだけど理解しようと絵を描くシーンとか泣いちゃったね。
松坂桃李さんの当初良心の呵責を感じながらも「俺は悪いことはしてない」と思いつつ焼香に来たけど、遺族や報道等で追い詰められていくまでの人間の弱さとかも上手く表現できていた様に思う。
ボランティアの人が「正しいこと」と励ますんだけど、それによって余計苦しんじゃう、けど自分のことを思って言ってくれてるのは理解出来るから強く拒否できない弱さとかも「分かるわ〜…」てなる。
学校の先生が最後に絵を持ってきたシーンとかも「関わり合いになりたくないな、怒鳴られたりするんだろな…」と思ってたところから頭下げられて戸惑う感じとかリアルすぎるし。
結局は最後まで万引きしたのかどうかハッキリと証明出来ないから、皆んなモヤモヤ苦しみながらのエンディングでカタルシスなんか無いんだけど…あの終わり方しか無いよな〜て感じ。
「あんなに逃げるんだから万引きしたんだろ」とも思えるし「あの父親なら事実はどうあれ万引きの疑い持たれたりマニキュアに興味持ったことに対して怒りそうだから逃げただけかも。それぐらい萎縮してるよね。」とも思えるし…