「キャスティングの妙」瞽女 GOZE 時村さんの映画レビュー(感想・評価)
キャスティングの妙
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難しい役が求められる盲目の方たちを描いた物語だからなのか、全編を演技ができる俳優で固めている絶妙さに唸った。特に前半の中島ひろ子と子役。一気に引き付けられて目を離せない。母のような愛情を注いでくれた師匠に小林綾子とはやられたー!と膝を打った。そして、演奏を聴く村人たちの顔が「本当にいたであろう」リアルさでビックリ。カメラとか撮り方が良かったのかな、薄暗い証明に照らされた顔に刻まれたシワの一本一本がゴッホの「ジャガイモを食べる人々」のように切実に浮かび上がって素晴らしかった。
虫でも灯りが見えているという逸話や四季折々の日本の風景を非常にきれいな映像で見せることで、普段当たり前のように見える景色もこんなに美しく貴重なものなのだということを逆説的に感じさせる。瞽女さんの世界とかあんまり知らないな、と軽い気持ちで見たが、なんのなんの心に残る宝物のような映画だった。
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