「ハルのうた」瞽女 GOZE MARさんの映画レビュー(感想・評価)
ハルのうた
盲目であり、過酷な旅を続け訪れた村の人々に三味線を奏でうたを届ける女性、「瞽女」の物語。
評価が高いようなので鑑賞。まず、瞽女というものを知らなかったので軽く予習。
盲目というだけでも大変だが、そのうえで厳しい旅を続ける瞽女さん達。
そりゃあ並大抵の躾ではこなせないわけだ…。
目の見えない娘のハルを、身も心も強い瞽女にする為、鬼と化し厳しくする母親。
今の時代だったら、それこそ虐待だと言われてしまいそうな程の躾。
しかし、それでも褒めるときは褒めるし、ハルの為だと言葉でもしっかり伝えているし、これも一つの正しい在り方なのかも…と思ったり。
そして、厳しくちょっといじわるな親方との修行。過酷ではあるが確かに強さを身に着け始めるハル。クニさんの存在は心が安らぐ。
後半は新たな親方との旅。今度は優しい親方で、瞽女としての楽しいひと時を過ごすが…。
そして最後、自身が親方となったとき気づいた気持ち。心が揺さぶられること間違いなしですね。
盲目であった瞽女さん達が生きる厳しさと愛情、そして感謝の気持ちを伝えてくれる、純和風な語り口も美しい映画だった。
「良い人と歩けば祭り、悪い人と歩けば修行」…瞽女さんに限らず、我々の人生においても当てはまる言葉ですね。そしてそのどちらも大切な糧になることも。
また、個人的には瞽女さんを先導する手引きの存在も気になった。
視力はあれど、厳しい山々を歩く力は当然必要だし、彼女らもまた並大抵の精神力では務まらないでしょう。
行く先々でも注目されたのは瞽女だろうけど、そんな彼女たちの姿にも注目してほしい作品だった(嫌なやつもいたけど)。
そして、エンディングロール!
ホンモノの歌声はまさに圧巻!この時で96歳だったというから驚きである。