「強いから脆く、虚ろだから脆い…」君は永遠にそいつらより若い わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)
強いから脆く、虚ろだから脆い…
これは良作。
あらすじや予告編からは想定してないくらい重く突き刺さる現実を示しつつ、偶然の出会いからかけがえない仲になっていくまでのシスターフッドもの。
他の作品と比べるのも良くないかもしれないけど、富裕層の中の格差よりも貧困や家庭背景における格差のほうが感情移入しやすく、自分ごととして受け止めやすいので、僕は「あの子は貴族」よりも好みだった。
外国人女性のポルノ写真を持ち歩いている彼の苦しみに対して、「その苦しみをわかってあげたい」という主人公は立派だけど、他人はあくまでも他人で、すべての気持ちを分かることは不可能に等しいことを示しつつ、それでも分かりたいと願う主人公の強い思いと裏腹な自己肯定感の低さを丁寧に描いていて苦しくなった。「児童福祉司」に対して真摯に向き合おうとする主人公で良かったと思う。
モヤモヤしたものがすっきりしてなくなるというゲーム“ぷよぷよ”をメタファーとして用いる上手さ。
佐久間由衣さんが表現する強いからこそ脆い感情、奈緒さんが表現する虚ろだからこそ脆い感情がぶつかりあった結果のとある夜のシーンは、何よりも神々しかった。
強いて言うなら、個人的にはセリフを発する演者に毎回カメラを向ける演出法が人工物感を感じてちょっと好みではなかった。強いて言うならレベルですが。
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