劇場公開日 2021年3月26日

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「ダークファンタジーな恋」水を抱く女 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ダークファンタジーな恋

2021年4月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

地味な印象の作品ですが、邦題とポスタービジュアルのギャップが「なんでだろ?」と興味惹かれ鑑賞。

精霊ウンディーネの神話を元にした物語だそうで。
あくまでwikiの情報ですが、精霊が人間と結婚した場合、いくつかの禁忌があるそうで。(以下引用)

* ウンディーネは水のそばで夫に罵倒されると、水に帰ってしまう。
* 夫が不倫した場合、ウンディーネは夫を殺さねばならない。
* 水に帰ったウンディーネは魂を失う。

観賞後にこれを読んだら。なるほど〜とわかったこと多数です。色々と腑に落ちました。納得。

さて、この精霊の話を現代にフィードバックした作品ですが。うまい具合に昇華してるなぁって思いました。
神話絡みのエピソードの織り込み方がうまいなぁとおもいます。ぐわわわーっともりあがるような作りにしてます。物語として良質に仕上がっていますね。

本作の好感ポイントは精霊感を前面に出してこないところです。なんだあれ?ってそれがカスる感じの引っ掛かりはあるものの、それがうまい具合に影をつくりつつ美しさを纏う恋愛ストーリー。人間同士じゃないのかも?ってうっすら頭の片隅にこびりつく感じなんですよね。

そして、水中演出良いですね。作品全体もちょいと暗めで、なんというかな、ダークファンタジー感が良いですね。ドイツ語がまた良いのです。フィットしてるなー。
ピアノの音色がまたダークな美しさを増幅させてます。

で、主演の女優さんが美しい。影がある、しかし熱い情熱的な愛の形を素晴らしい演技で魅せてくれます。いやー、相手への好き好き!が伝わってくるんです。だから、クライマックスは観てる方は苦しくて、苦しくて。
パウラ・ベーアさん、名優ですね。ほんとに。素晴らしかった。

僕は元になる神話を読んだことがありませんから、ラストの展開がオリジナルか神話ベースか?はわかりません。しかし、真心の現れに対して真心で応えたんだろうなって思います。まー、ちょいベタでしたが良しです。

秀作です。

バリカタ
talismanさんのコメント
2021年4月5日

バリカタさんのレビュー、いいですー!私が言いたかったこと全部表現頂き(勝手に乗っかりすみません)嬉しいです。この映画、とてもいいのでもっと沢山の人に見て欲しいと思っています。

talisman