「絶望するは自らに巣食う当たり前の絶望」なぜ君は総理大臣になれないのか 前世は焼き鳥屋さんの映画レビュー(感想・評価)
絶望するは自らに巣食う当たり前の絶望
「なぜ君は総理大臣になれないのか」
まさに今見るべき、〝女帝・小池百合子“と対をなす様な映画です。問いの立て方が、さすが。秀逸です。
「超高齢化社会は国民が我慢しないといけない」という耳障りの悪い事を掲げ悩み続ける彼とは対照的に、女帝はその場その場に適したおいしいエサを提げどこまでもしたたかに立ち回る。
比べてみると確かに彼は政治家には向いてないのかもしれない、と思います。でもそうやって納得してしまいそうになる事自体、ゾッとします。
いつだってものごとは地味で複雑です。白か黒かには簡単に分けられない。だからその都度真剣に悩む彼の姿に、本当に心打たれます。高村光太郎の「火星が出てゐる」という詩を思い出しました。
単に政治の話ではなく、めちゃくちゃ魅力的な人間の映画です。
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