ディエゴ・マラドーナ 二つの顔のレビュー・感想・評価
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【セリエAリーグの弱小クラブSSCナポリ在籍時代の7年間のマラドーナにフォーカスし、栄光と凋落の姿を描いた作品。因縁のイタリアW杯で、何が彼に起きたのか? ほろ苦い気持ちになる作品でもある。】
ー 2000年11月25日 60歳の若さで永眠されたディエゴ・マラドーナ選手に謹んで哀悼の意を表するとともに、小学生だった私にサッカーの面白さを教えてくれた事に感謝申し上げます。-
■今作の面白さと哀しさ
・アルゼンチンの貧困家庭に生まれ、稀有なサッカースキルにより、アルゼンチンの代表選手になって行く過程での、マラドーナの生き生きとした自信に満ち溢れた表情と、どこか不安げな表情の対比。
- スターダムを駆け上がって行く中での得体の知れない不安だろう。 -
・貴重だと思われる若き頃の、マラドーナの練習風景。ヒールのみでの、リフティング。体格的に恵まれていなかった、マラドーナのドリブルテクニック。
◆彼が、FCバルセロナで、怪我などで思うような結果を残せず、移転先に選んだのは、セリエAの下位チーム、SSCナポリだった。
そして、その選択が、マラドーナの人生に、栄光と凋落を齎すとは、その時点では誰も予想できなかった。当然、マラドーナ自身にも・・。
・ナポリ移籍後、マラドーナの活躍により、年々順位を上げていくSSCナポリ。彼を熱狂的に支持するナポリの人々。
- 御存じのように、イタリアは南北に長い。一般的に、北部地方は、比較的豊かであり、ローマの有る南部地方は比較的、貧しい。イタリアンマフィアが生まれた背景に、地方間格差がある事は有名である。 -
・念願のリーグ制覇を果たし、マラドーナのナポリでの人気は不動のモノになって行く。だが、それと合わせて、イタリア・マフィアの一つであるカモッラのジュリアーノ一家と親交を深め、コカインにも溺れていく。
- このドキュメンタリーは、マラドーナの陰の部分もきちんと描いている所が良い。 -
・86年のメキシコW杯で、決して本命視されていなかったアルゼンチンを”神の手””5人抜き”により、優勝に導くマラドーナ。
◆そして迎えた因縁のイタリアW杯
・準決勝まで勝ち進んだアルゼンチンの相手は、イタリア。競技場はナポリ。試合前、ナポリの人々に呼びかけるマラドーナの肉声。”ナポリの人々は、アルゼンチンを応援して欲しい・・。”
縺れた試合はPK戦になり、マラドーナは最後に”落ち着いて”PKを決める。それは、彼がイタリア国民に愛されるサッカー選手から、最も憎まれる選手になった瞬間だった。
- こんな、映画の様な展開があるのか! と当時思ったものだ。 -
結果、周知の事実だったマラドーナの薬物問題、女性問題が噴出し、彼はイタリアを後にする・・。
- ”来たときは数万人が出迎え、帰る時は独り・・。-
<もし、あのPKでマラドーナがPKを外していたら、彼のサッカー選手としての運命は好転していたのであろうか?
それにしても、後年TVに出演した際のマラドーナの太った姿には、当時驚き、且つ嘆いたモノである。
そして、彼は結局薬物とは完全に縁が切れずに、若すぎる死を迎えてしまった・・。
彼のガールフレンドだった元妻へのインタビューなどが、彼の人物像を掘り下げているドキュメンタリー作品の秀作である。>
■蛇足
・一番好きだった、ロベルト・バッジョが少しだけ観れた。嬉しかった。
◆一言
・この映画サイトに、レビューを投稿し始めてから、2年近く経つ。それまでは、鑑賞記録として利用させていただいていたが、多くの映画愛溢れるレビュアーの方のレビューを拝読し、
”この方の車、戦車系の知識は凄いなあ、どうやって、瞬時に見分けるのかなあ・・。”
⇒他の知識も凄い方である。勝手に”広島の知性”とお呼びしている。
”この方、レビューをまとめて本にしたらよいのではないかなあ” ⇒真面目に提案した。
”この方、年間何本映画館で、映画観ているのかなあ。それにしても、全て映画館で観た映画のレビューしか上げないのは、潔いなあ。” ⇒年間の鑑賞本数を教えて頂き、驚愕した。
”流石、徳川も手出し出来なかった前田家が”カントリー・ジェントルマン”として、天下を睥睨していた地の方だなあ。何でも知っているなあ。”
”国際政治学のとびぬけた知識、経験は基より、とにかく何でも知っている”後ろ姿が印象的”な方。”
”心優しき、”お守り””の方”
”面白くも、ホロリとさせる猫好きの方”
等々、多くの名も知らぬ方と”SNS"上で、会話を時折交わすようになった。
願わくば、このサイトが多くの映画好きの交流の場として、今以上に活況を呈する事を祈念するものである。
マラドーナファンそしてリアルタイム世代向きなのかな
ナポリ時代のマラドーナにスポットを当てたドキュメンタリー作品。
根っからの野球人という事もあってサッカーはW杯の時には海外の選手に熱中してみる程度である。
アラサー世代の僕にとってはマラドーナの現役時代は知らず名前とやはりあの神の手事件まぁその他諸々を浅く知っている程度である。
それでも2010年の代表監督の印象は強く、その際は彼の存在に魅了された。
この作品はドキュメンタリーではあるが、「今だから明かされる」的なインタビューやドラマがあるわけではなくあくまでナポリ時代の彼を懐古するようなシーンが連なる。当時の映像やインタビュー動画を連ねてまとめられている。
所々関係者のインタビュー音声もあるが、この作品のために録った新しい音声かは不明。関係者が出演してるわけではないのでおそらくそれも過去のものだと思われる。
前半はナポリ移籍当初の華々しい活躍している姿、ナポリのヒーローとして描かれ、後半はドラッグや女性関係でトラブルを起こした描写、そしてW杯でイタリアを下した辺りからヒール的存在へ移りゆく姿がえがれている。
この辺りの事件も特に追求するわけではなく当時の映像音声を連ねて纏められている。
リアルタイム世代ではなく、そしてサッカーにそこまで詳しいわけではない為それなりに新しく知る楽しさを味わうことはできたが、知らないが故に疑問に思う事も多々あるが決してそれらを追求していく作品ではないため心残りはある。
また上にも書いた通り何かこの作品で新たな事実を展開していくわけではない為そのような事を期待すると裏切られると思う。
マラドーナのファンでありリアルタイムの世代が懐古心を楽しむ作品のように思えた。
ロックスター‼️
アラフォーでサッカーかじった人間なら、
文句なしの作品です。
サッカーを知りたければ、
マラドーナを見たら大体分かります。
ってくらい。
そしてマラドーナは本当に神になりました。
Rest In Peace.
明日、プーマのスパイク買いに行こうっと。
愛され、憎まれ、消費された天才
マラドーナがナポリでどれだけ熱狂的に愛されたか見たかったのでドンピシャリの映画だった。マラドーナに狂喜する暴走族状態の車とバイク、家々の窓から顔出し叫びサインを求める人々、すごかった。
その頃、ナポリで生まれた男の赤ちゃんはみんなディエゴと名付けられたとか(ディエゴの子どもじゃないが崇められたスーパースターの名前にちなんで)、ピザ屋に行ったらお勧めは「ピッツァ・マラドーナ」(実際はマルゲリータと変わらないようだったが)と言われたという私の友だちの話は本当だ!と思った。
その後、カモッラとの関わりで結果的に憎まれ断罪されたのは悲しくてかわいそうだった。イタリア北部に馬鹿にされてたナポリを優勝に導いたのに。アルゼンチンの人間としてワールドカップに出場し対イタリア戦の会場がナポリだっただけなのに。そこでゴールを決めただけなのに。コカインだってみんな以前から見て見ぬ振りだったのに。ナポリ人、イタリア人、極端!激し過ぎ!
サッカーのことは何も知らないけれど面白かった。そもそものきっかけは映画で、ソレンティーノ監督の「グランドフィナーレ」。その映画の中、セレブが集うスイスの保養地にすっごく太った「マラドーナ」が居る。同じくその保養地に滞在している登場人物の一人が彼に言う「あなたのことは世界中の人が知っていますよ」
私は知らない!私は「世界中の人」に入ってない!とちょっとショックだったので、ディエゴ・マラドーナについて知りたかった。60歳で亡くなるなんて早過ぎる。
ドキュメンタリーの題材として最適すぎる人物
エミール・クストリッツァが溢れるマラドーナ愛を全面に押し出して撮った『マラドーナ』とは異なり、こちらはイタリアのナポリチームに移籍した84年から91年までの記録に密着。
残されたフィルムに刻まれた栄光と挫折、天国と地獄の紆余曲折は正にドラマチック。「サッカーは騙しのスポーツ」と自身が語るように、あの“神の手”も故意だったことをあっさりと認め、黒い交際も女性問題もなんのその。
こんなにも嫌われる要素を持ちながら、“マラドーナ教”なる教祖として崇めたてられる悪童。そりゃドキュメンタリーの被写体として追っかけるには面白すぎる。
ただ、ナポリ時代の7年間に特化しすぎて、彼の“今”にほとんど触れられていない構成は、やはり物足りなさを感じる。
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