「チャンスが与えられた。」SKIN スキン Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
チャンスが与えられた。
よかった。めでたい。でも、
ネオナチ、スキンヘッド、ブライオン(ジェイミーベル)ヴィンランダーズを抜けだしたあとの彼の人生が気になった。
映画でも見せているように 彼はFBIのリストに載っているから、ある一定の仕事を探すこともできない。雪かきの仕事をしているシーンで人の優しさに触れて行くが、現実問題、社会復帰は無理だ。
米国には司法の盲点で若者の麻薬常習の罪での監獄に入っても記録として残るので、身動きが取れなく、更生しても社会復帰が難しいことがある。『ヴィンランダーズ」の組員としての狭いスキンヘッドの世界が彼の社会性を営むところだったから、ブライオンの更生後の道は大変だと思って見ていた。
刺青が除去されたからといって、それで済むものではない。これは第一歩。
それに、精神的に問題を抱えて(病院で彼自身放火される夢を見ている)トラウマなどのPTSDで精神的なカウンセラーがいるし、彼の子供四人を含めての新しい家族もブライオンと一緒に受けなければ、子供が受けた衝撃は簡単の消え去らない。ブライオンの『怒り』も アンガーマネージメントのクラスや、アルコール、タバコ、『F 言葉』の常習など、これからの課題が多く、これを挫折しないで乗り越えていくのは大変だなあと思っていたら、終盤に字幕でかなり納得のいくブライオンの将来が出ていた。
ダリル ジェンキンス(Mike Colter)のような一歩一歩、地道な活動をブライオンはしていくと思う。ダリルは 『One People's Project 』という、白人至上主義、人種差別反対の活動家で、直接的にブライオンを救った人だ。字幕では『Southern Poverty Law Center』の協力を得て、2年間かけての顔の刺青を取り除いたと。そして、字幕には書いてなかったが、ダリルがブライオンに家族の面倒は見ると言っている。更生するのは彼だけでなく貧困家庭も更生する必要があるのでこの団体は援助しているのだと思う。それに、刺青の除去手術の費用も全額、寄付で負担される。私の教会でも、刺青を除去する施設を持っている。除去の痛みはこの映画からもわかる通り、大変な痛みだそうだ。それに、顔と首だけで612日もかかるんだね。
本人が映画で『心から感謝する。私に人生をくれた。』と。
ブライオンの協力によりFBI は中心組織人物を逮捕したと。ブライオンは現在、『犯罪心理学』勉強をしていると。そして、彼の自伝で『寛大さと包括』について皆に伝えていると。そして、ブライオンとダリルは今も友達だと。
犯罪を犯した人間に更生する場所を与えて、ブライオンのように『犯罪心理学』を学び、彼の経験をを伝えながら、社会を変えていく動きは貴重だ。この映画でもわかるように、こういう組織は『弱いもの』にまず声をかけてグループが助けるよ、家族だよと、いって若い人を組織に入れる。娘エイプリル?もスキンヘッドのシャリーンにリクリートされそうになった。ギャビンはこの軍団にリクルートされて仲間になった。
この何も知らない若者の犯罪歴(ここではブライオンが例)を更生させ、再び生きていくチャンスをあげ、ある程度まで援助して見届ける組織や慈善に携わっている人々に心から感謝する。
ダリル ジェンキンスの『One People's Project 』の成果。下記の成果を見ると、何これだけと思うかもしれない。実は顰蹙を買うかもしれないが、私はそう思った。この思想、行動から抜けでたくない人もいるだろう。でも、抜け出たいと言う、この一人を救うことが大事なんだ。人一人の命はなににも変えられなく、大切だから。
https://onepeoplesproject.com/daryle-lamont-jenkins/ ジェンキンスのHP
2011年 一人
2000 年 一人
2003 年 一人
2004 年 一人
2005 年 一人
2008 年 一人
1999年 二人
蛇足:
顔に刺青がある時、いくらブライオンが子供たちに微笑んでも、その微笑みは刺青の凄さによって消えてしまうし、我々の視線も刺青の方にむきやすい。これは死角。顔に火傷をおっている人やノグゼマの免疫疾患で苦しんでいる人に、我々の目は外見(顔の表面)にいきやすい。人間性を見るよりは!この盲点もこの映画で意識化したい。
最後にアル中のお母さん役、シャリーン(Vera Farmiga)演技はピカイチだった。言葉に表せない感情を上手に伝えていた。もちろんは ジェイミーベルも迫力があった。リヴァプール、最後の恋(2017年製作の映画)Film Stars Don't Die in Liverpoolで初めて彼の存在を知ったが、両極端な役を上手にこなしている。