「普通の生活下に戻る難しさ」SKIN スキン KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
普通の生活下に戻る難しさ
恥ずかしながら実際に存在したヴィンランダーズという組織も、社会的に起きた事件の事も全く知らなかった。もう15年以上も前になる事だから特に若い世代の者にとっては馴染みのない事件なのではないか。
この犯罪組織はいわゆる白人至上主義者。しかし現在も白人主義に限らずあらゆる差別主義者、団体はまだまだ存在している。
それらを照らし合わせながら観賞すると非常に見応えがあり同時にまだまだ根絶するには時間が必要だという悲しい現実を痛感させられる。
主人公のブライオンも幼少時代から絶対的な差別主義の下育てられ大人になった。
愛する人を見つける事で今まで自身がしてきた差別、差別による暴力を始めとした悪行を悔いることとなり改心するのがこの作品のメインストーリーとなる。
そうはいっても人が改心し普通の生活を送れるように戻るには簡単な事ではない。
長年培って育ってきた暴力性はそう簡単に消すことはできない。なにか問題があるとやはり暴力的にそして感情的になり中々物事を上手く進められないブライオン。
そして次にやはり犯罪組織を抜けるのはそう容易いものではない。自身、そして愛する者の命を狙い奪われ、更なる苦しみを与え続けられるブライオンであった。
この作品ではヴィンランダーズという犯罪組織の詳細を描くというより、そういった組織から抜け出す事への苦しみや心の葛藤を描いていた為思いの外見易く、色んな人が見易い作品であったように思う。
まぁ本来この作品で描かれているブライオンのように一度手を染めた犯罪や、いわゆる悪が正しいという洗脳下から抜け出すことはそう簡単な事ではないと思う。
ヒューマンドラマとしてもっとその辺を詳細に見たい気もしたが、抜け出す苦しみといった点にスポットを当てた作品として見るのであれば期待以上に見応えはあったと思う。
劇場公開数が少ないが決してマニアックな作品ではない為気になる人は是非観て欲しいものだ。