「俺の人生にも佐々木がいたかもしれない」佐々木、イン、マイマイン といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
俺の人生にも佐々木がいたかもしれない
面白い映画を探すときによくYoutubeで映画系ユーチューバーさんが投稿している「今年の映画ベスト5」みたいな動画を参考にするんですけど、本作は「2020年の映画ベスト5」に数名の方が名前を挙げていた作品でした。
めっちゃ見たかったんですけど地元の映画館では上映していなかったため、DVDのレンタルが始まった今のタイミングでの鑑賞になりました。内容に関する事前知識はほとんどありません。YouTubeで本作を紹介している動画をいくつか見ましたが、やはりネタバレを気にしてか内容に関する話をしている人はいませんでしたね。
結論から言えば、かなり私に刺さりました。
高校時代の友人に、本当に佐々木っぽい人がいたので凄い既視感がありましたし、感情移入して観ることができました。果たして彼は本当に「クラスのお調子者」だったのか、「集団心理で道化を演じていた普通の学生」だったのか。今の私にはもう分かりませんが、ふと思い出してしまいました。
・・・・・・・・・・
俳優を志して上京したものの全く芽が出ず、仕事も恋愛も上手くいかずに自堕落な日々を送っていた石井悠二(藤原季節)。ある日高校時代の友人である多田(遊屋慎太郎)と再会したことをきっかけに、高校時代にクラスの中心的人物だった友人の佐々木(細川岳)のことを思い出す。悠二は役者の後輩に誘いを受けて舞台に出演することになるが、舞台の内容が高校時代の記憶とリンクし、段々と佐々木との日々を思い出していく。
・・・・・・・・・・
完全に余談なんですが、鑑賞中に悠二の元カノとして登場する女の子がめちゃくちゃ可愛くて「どこかで見たことあるな」とずっと気になっていました。鑑賞後に調べてみて分かりましたが、『街の上で』で自主製作映画の監督をしてた映画サークルの女子大生の高橋さんを演じてた女優さんですね。萩原みのりさん、名前覚えました。
高校時代に仲良しだった友人グループの一人に再会したことで高校時代を思い起こすようになった石井。クラスの中心人物で高校時代の友達グループの仲間でもあった佐々木との思い出を思い起こし、それが現在の自堕落な石井に重なっていく。物語の構成が面白かったですね。
作品の雰囲気としては大きな盛り上がりどころは特にない生々しい日常を切り取ったような感じです。先日鑑賞した『街の上で』も似たような雰囲気の作品だったんですけど、『街の上で』はお洒落気取りで独特な雰囲気と全く笑えないのに妙に尺が長いギャグシーンが個人的に全く理解できなくて苦手でした。しかし本作『佐々木インマイマイン』は男子高校生のバカバカしいノリとか意外に繊細な男子高校生のメンタルとか、そういうのが共感できて個人的に刺さりましたね。雰囲気は似ているしレビューサイトでの評価はどちらもかなり高いんですけど、ここまで個人的な評価が違うというのは私自身も驚きです。もしかしたらこの手の作品は、観客のバックグラウンドによって評価が全く異なるんじゃないかと思い知らされました。
非常に面白く、パワーのある作品でした。結構賛否分かれそうな描写もありますが、刺さる人は多いと思います。オススメです!!