「ナルシストっぽさが観ててツラい映画」佐々木、イン、マイマイン 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)
ナルシストっぽさが観ててツラい映画
今日はどんな世界だったの?
本編冒頭、寝起きの彼女に主人公が発したセリフです。見た夢の内容を聞いてるんですが、このナルシストっぽさがもう気持ち悪くてツラかったです。
本編前に、急遽撮ったみたいな主要キャストのコメント動画があったんですが、「一生懸命作ったので感動してください。そして我々を褒めてください」って言われてるみたいで、これも押し付けがましくて気持ち悪かったです。
「ドラ泣き」みたいな、わざわざ見方を押し付けるんじゃなくて、せめて観客が見終わったあとにそう感じるように、本編の中で演出しろよと。
まぁ、試写で不評だったから後付けしたんでしょうけど、これは逆効果です。
こういう動画を付けるセンスなので、セリフもポエムと説明が多く、構成もグチャグチャです。
回想もキッカケもないままに唐突に入ってくるし、なんなら誰の記憶なのか不明な回想もあります。
佐々木が死んだのに、警察にも救急にも通報せずにまずは高校時代の友人に電話するナンパされた女ってなんですか?
さらに精々彼女未満の関係なのに喪主するってなんですか?
感動させたいのならこういうディテールを脚本上で詰めておいてくれないと、イチイチ引っかかってしまって乗れないんですよね。
きっと監督がナルシストなんでしょうね。だから、一生懸命さのピントがずれてんだよな……。
肝心な佐々木も主人公も、魅力的な人物には描けてないので、ファンタジーなオチも、観客はポカーンです。
キングヌーの人がちょっとだけ出てたり、謎に予算と人脈があるみたいでそれには驚いたんですけど、豪華なだけの自主映画は金のない自主映画にも劣りますね。
画はキレイでした。撮影照明美術スタッフは優秀なんだと思います。編集スタッフも腕があるからグチャグチャなストーリーをまだ見られるものにしたんだと思います。
結局、この監督さんはMV撮ってればいい人だなと感じましたが、実際そっち出身みたいですね。
今後もMVの分野での活躍を期待してます。