「普遍性を持った率直さ」佐々木、イン、マイマイン tc matさんの映画レビュー(感想・評価)
普遍性を持った率直さ
真っ直ぐで、1カット1シーンに熱があって、緻密な映画。
その全てに時代や見る人の年齢性別を超える普遍性が宿る。
物語自体は高校時代から27歳までの、山梨と東京を舞台にした男性たちの物語だが、同じような属性にない人が見ても胸を震わすことができるはず(私がそうでした)。登場回数の少ない女性キャストの人物造形がしっかりしていることにも起因していると思う。世間的にはほぼ無名の若手役者達の表現が本当に素晴らしく、それを引き出した監督の演出力や、きっちりそれらをカメラにおさめた技術スタッフの力にも瞠目した。
過去と現在がオーバーラップする構成は、重要なシーンで同じ空の色(時間帯)でつなげられる。戯曲『ロング・グッド・バイ』の台詞もきいて響いてくる。
さようならの連続を生きる私たちは、離れていても同じ空のもとで泣き笑いし、奮闘し、時にくさりながらも、それぞれの生を全うする。さようならの反語のように用いられる青春の明るい場面にこそ涙が出た。
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