劇場公開日 2020年11月27日

「佐々木コールは俺たちへのエールだ!」佐々木、イン、マイマイン shironさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0佐々木コールは俺たちへのエールだ!

2020年11月28日
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鑑賞方法:試写会

私も一緒に佐々木の生き様を見届けた!

たまに、思い出すだけで胸が熱くなる映画に出会いますが、間違いなくその1本でした。

たった2時間なのに、奴らと同じ時間を過ごしてきたような錯覚に陥り、
佐々木なんていう見ず知らずの奴が、忘れられない記憶として私の心に焼き付けられました。
ラストシーンは劇場で体感したかった!

『ヴァニタス』の続編にあたる年齢層の物語かと思いますが、伊藤との決定的な違いは、佐々木は表現者であったこと。
悠二が立つ舞台とのオーバーラップが素晴らしいのですが、『ヴァニタス』の伊藤が『ロング・グッド・バイ』(テネシー・ウィリアムズ)の母親側の人間だったとすると、佐々木は誰に見せることはなくても絵を描き表現する者だった。

パオロ・タビアーニ監督の『塀の中のジュリアス・シーザー』に感銘を受けてから、ずっと考え続けていることなのですが、一言で言うと“人はパンのみに生きるにあらず”
佐々木は、理不尽な思いや押しつぶされそうな孤独、悲しみや怒りの発露を見つける事の大切さを知っていて、自分の為に絵を描くことで現実に踏みとどまれていたのだと思えます。

ギリギリの友に寄り添うシルバを演じる悠二は、佐々木のことを思い出しますが
むしろ、自分に役者になることを強く薦めた佐々木の方が、シルバだった事に気づく。

誰かに必要とされたくて、頼まれると断れない佐々木は、佐々木コールで一身に注目を浴び「逃げるぞ」と言う声に逃げて見せる。
それは、佐々木の願望を満たす瞬間であると同時に、小さな鬱積を持て余す奴らの発露であったに違いない。
お互いに必要なモノを交換し合う時間は異様な熱気に包まれるが、等価交換ではなかった。
シルバのような佐々木の優しさで成り立っていたのだ。

細川岳さんの演技が心に残ります。
佐々木の、冗談めかした話し方や、品のない食べ方、人懐っこい笑顔。
一つ一つがあまりにもリアルで、佐々木にピッタリの役者を連れて来たのか?と思うところですが
いやいや。細川岳さんって『ヴァニタス』の柴原ですよね?
全く別人で、演技力に驚愕。
特にお好み焼きを食べるシーンとパチンコ玉を渡すシーンの表情が最高
脚本にも参加してらっしゃいますが、エンドロールのスペシャルサンクス枠に“佐々木”のテロップを発見。
やっぱりモデルがいたってことでしょうか??

鈴木卓爾さんの父親も素晴らしい。

苗村さん(河合優実さん)のセリフから見える二人の関係が、また泣けます。

後半はもう、すっかり物語に入り込んでしまっているので、5人目の同級生の気持ちww
木村の家では「わ〜!良かったね〜!」と心から思えて胸が暖かくなったし、そこから一気に視点が数段上がっていく展開には、ただただ人間の営みの尊さを感じました。

「人間は裸で生まれてきて、死ぬときは服を着ている。生きてるだけで丸儲け」とは明石家さんまさんの座右の銘ですが
そんなのは佐々木らしくない!!

佐々木コールは、奮い立ちたい奴らへの佐々木からのエールだ!!

#佐々木、イン、マイマイン

shiron
shironさんのコメント
2023年7月12日

『化粧』素敵でしたね。『プカプカ』も最高でした。これで一気に河合優実さんのファンになりました。

shiron
Mさんのコメント
2023年6月13日

「化粧」は元々好きな曲だったのですが、この映画の「化粧」はほんとにいいですね。

M
shironさんのコメント
2023年1月23日

Mさん、コメント有難う御座います!
そんな風に言っていただけて、嬉しいやら恥ずかしいやら。
見た直後の興奮のまま書いたので、今読むと何のことを言いたいのかが、イマイチ伝わらない。不親切なレビューですよね。
そんだけ興奮してたのね。私

shiron
Mさんのコメント
2023年1月10日

心に残るレビューでした。

M