「2018年の台湾の国内映画興行収入1位というのは伊達ではない!」悲しみより、もっと悲しい物語 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
2018年の台湾の国内映画興行収入1位というのは伊達ではない!
私は、本作については予備知識もない状態で、チラシの雰囲気の良さやタイトルの不思議な感覚に惹かれて念のため見てみました。
最初は、「まぁどこかで見たことのあるような、よくある定番ラブストーリー映画かな」という印象でした。
ところが、後半からは、その様相が変化してきて、終盤になるとクオリティーも上がっていき、「これは定番のラブストーリーを超えている」という認識に変わりました。
予備知識は全く要らない作品なので、恋愛映画が好きな人には、「とりあえず見ておきたい恋愛映画の1本」として、おススメしたい作品です。
本作の良さの背景には、リメイク作品である、ということもあると思います。
2009年に韓国で大ヒットしたクォン・サンウ主演の「悲しみよりもっと悲しい物語」という作品がベースにあり、それの「台湾リメイク版」だったのです。
「リメイク映画」というのは、よほど監督が奇をてらわなければ、さらに良い作品になることが多いため、本作はその意味で「定番のラブストーリーを超えた出来」になったと思われます。
本作は、2018年の台湾の国内映画興行収入1位を記録し、中国では「キャプテン・マーベル」や「グリーンブック」などをおさえ「台湾映画としては史上初の興行収入ランキング1位」(2019.3.11–2019.3.17)を記録する快挙を成し遂げています。さらには、2週目(2019.3.18–2019.3.24)も「ボヘミアン・ラプソディ」などをおさえ興行収入ランキング1位を維持するなど大ヒットしていました。
また、シンガポールとマレーシアにおいても、2018年の「アジア映画興行収入1位」を記録しています。
ただ、残念ながら日本では公開館数が順次公開も含めて20館程度な上に、公開の今週末の土日は新型コロナウイルスの影響でメイン館の新宿武蔵野館が休館だったりもするので日本の興行収入はそれほど期待できない面はあります。
とは言え、最後まで見てもらえれば及第点には達していて「2018年の台湾の国内映画興行収入1位というのは伊達ではない」ということは分かってもらえると思います。
私は台湾の芸能事情にはそれほど詳しくないのですが、台湾を代表する歌姫A-Linを知っている人は、彼女が映画初出演に加えて本人役で主題歌の「ある悲しみ」を歌ったりもするので、より楽しめると思われます。