配信開始日 2020年1月30日

「良い子の仮面を捨てる」ミス・アメリカーナ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5良い子の仮面を捨てる

2020年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

テイラー・スウィフトはアメリカの若者のアイコン的存在だ。10代でデビューした彼女は、周囲に気に入られるため「良い子」を演じ続けてきたという。これはそんな彼女が「良い子」の仮面を捨てるまでの過程を追いかけたドキュメンタリーだ。
保守的な地域で育ち、カントリーミュージックをこよなく愛して育ったテイラー。女は政治に口出しするものじゃない、いつも笑顔を振りまかないといけないと思い込んで育ったテイラーがついに政治的な発言をするようになった近年の心境の変化にカメラが寄り添っている。
ショービズ界で正直に生きることは難しいことだ。テイラーの変化は父親の価値観に逆らうことでもあった。自分を構成する一部分を否定したり疑ったりすることは大変なエネルギーがいることだ。自分で考え、自分で学び、自分の言葉で表現するテイラーは確かに多くの若者のロールモデルにふさわしい存在だと本作を見て感じた。

杉本穂高