「やりきれない映画だった」キネマの神様 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
やりきれない映画だった
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映画としては、敢えて手を挙げた沢田研二の男気、美しかった北川景子、可憐な永野芽郁が目立った。
以前BSテレ東で見た時には、主人公ゴウ(若い時は菅田将暉)が撮影所にいたという、原作にはない設定が出てきた段階(過去パート)で、それ以上見続けることが難しかった。第一、同じ監督さんが作った1986年の「キネマの天地」とそっくりだと思った。「天地」が1930年代、「神様」は、本当は50年代終盤だろうけれど(69年とされていた)。BS260で放映された時、現代に戻るところから視聴を再開した。
ここでは、ゴウ(沢田研二)が書いたシナリオに関する展開が付け加えられている。それ自体はご愛嬌としても、過去パートの撮影所場面で出ていた原節子を思わせる女優(北川景子扮する桂園子)が再び登場して、長い間ゴウのために尽くしてきた淑子(若い時は永野芽郁、後半は宮本信子)の一番良いところを根こそぎ奪い去ってしまう。あの監督さんは、もともと、小津さんの古いホームドラマを否定したくて映画を作っていたのではなかったのか。これは原作とは全く異なる筋立て。
マハさんは、なぜこんな映画に、ご自分の名前が原作者として載ることを許されたのだろう。この映画ができたことは、百歩譲って仕方ないのかも知れないが。
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