「監督はつらいよ 望郷編」キネマの神様 Masayaさんの映画レビュー(感想・評価)
監督はつらいよ 望郷編
ゴウという男の映画青年としての過去と、ギャンブルに依存する老人としての現在が交互に描かれていますが、山田監督の映画人としての思い入れのためか?青年時代が生き生きと描かれているのに対して、現代パートは画質もシャープさがなくゴウへの孫の態度や言葉遣いが昭和的(寅さんに対する満男のよう)で違和感を感じました。
過去パートでは菅田将暉や永野芽郁、北川景子が味のある演技を見せてくれています。しかし、肝心の老人ゴウの描き方が中途半端で、演じる沢田研二もさほどの存在感を感じられません。当初、予定されていた志村けんがやったとしても、それ程魅力的な人物になったかは疑問に思います。
時代劇三部作以降の山田作品の中では比較的良かったものの、全体的には山田監督のノスタルジーに付き合わされたという印象は否めません。
山田監督も89歳。その功績は認めつつ、晩年の黒澤明がそうだったようにこの人もまた自己満足で映画を撮るようになってしまったんだなと感じざるを得ない作品となってしまったのは残念でした。
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